164日目 人工呼吸はキスに計算?

白い大きな雲を眺めながら項垂れるキルりんの隣に移動したハルトは。

水着になるまでは楽しそうにしていたキルりんのことを話すと。

キルりんはため息交じりに2人のとある実った果実を収集してもいいかと言い出しており。

ハルトはそっとキルりんの胸を見て、プスッと笑うと。

キルりんはついにブチギレ・・・ハルトに強烈なブローをかました。


「どうして人が気にしてる部分を見て笑うのですか!?

ハルトはクソ外道です!!やはりここで私が永遠に引導を渡してあの世に返してやりますよ!!!さぁ!!どっからでもかかってこいやぁぁッ!!!」

「ちょッ!?わ、悪かったって・・・・だってさ・・・サプリを呑んでそれって・・・・いや、悪い・・・ゴメンゴメン。」

「2人とも何を楽しそうに組み手をしているのだ?

私も散歩だけではやはり退屈だから組み手なら相手になろう。」

魔王は大きな果実をゆさゆさと揺らしながらやって来ると。

ハルトのどうでもいい言動よりも物理的に自慢するかのように弾むモノに敵意が向くと。

キルりんは魔王に組み手と称して勝負を仕掛けると。

魔王もどこからでもかかって来いと言って構え・・・どちらも動く気配を見せず。

ハルトが早く戦えとヤジを飛ばすと、キルりんが先に動き出した。


「さぁ魔王!!今日こそは観念してください!!そのプルプルしたたわわな果実を調理してやりますよ!」

「おい、ちょっと待て!!キルりんの目が血走ってて怖いのだが!!!

とか言うよりも私の胸ばかり見て突撃してこないでくれ!?

は、ハルト!!!助けてくれ!!!このままでは本当に大変な事になってしまう!!」

「だったら魔王がキルりんを倒せばいいんじゃないか?

それともキルりんに魔王のサキュバス風水着が剥かれるか・・・どっちかだろうな。」

「よっしゃぁぁぁ!!!4匹目ぇぇぇぇ!!!あひゃひゃひゃ!!最高にハイってヤツじゃないかしらね!今日は最高に釣れるわよ!!!このまま目標の数まで釣っちゃうわよ!!!!おりゃぁぁぁぁ!!!!」

ハルトは魔王とキルりんのある者とない者の戦いを傍観している最中もメルトは1人で釣りをエンジョイしており。

そして、ついにキルりんと魔王との戦いに決着が付こうとしていた。


「見えたッ!!!弱点はここですッ!!!!!」

「こうなれば私も反撃するまでだッ!!!!」

「おぉぉおぉぉ~~~く、クロス水着カウンター!!!ぶぐはぁッ!?」

2人は互いに水着を剥き合うと、それをまじまじと見ていたハルトに強烈な打撃をくわえてぶっ飛ばすと。

清々しいまでに落ち着いた2人は互いに握手をすると、ハルトに見えないようにキルりんは水着を付け直し。

キルりんの力で切れてしまっていた魔王の水着は、無理矢理縛って魔王が着ると。

縛ってある分だけムチムチとしており・・・以前の水着姿よりもサキュバスよりとなっており――――――――


「やっぱり魔王ってサキュバスじゃん・・・・その恰好で否定できると言うのならしてもいいが・・・・それは駄目だろ。」

「だ、し・・・仕方ないだろ!?これ以外に水着が無いのだぞ!!」

「だったらいつもの魔力で装備を作ればいいのではないのですか?

まぁ、どちらを着ても私のイライラは消えませんがね。」

「ちょっと!!!!そんなどうでもいいコト話してないでコレ引き上げるの手伝って!!!コイツ・・・中々釣り上がらないのよ!!!」

そう言ってメルトは自分が釣り上げられそうになりながら応援を求めると。

一旦、話を置いておいてメルトの応援を開始し。

全員の力で引き上げると・・・・


「うわッ!?何このキショい魚!?これ・・サカナ?」

「いえ、コレは・・・・人面魚ですね。

特定保護動物の一種なのでリリースしないと処罰されますよ。」

「特定保護?このようなゲテモノが保護とは・・・・

どうして保護されているのだ?気持ち悪い面で釣りあげられるたびに捨てられたとか?」

「何だろうな・・・ひとこと言えんのはコレを早く返さねぇと動きが悪くなってきてるところだと思うんだが?」

ハルトの言葉に慌てて人面魚を海に投げ捨てると。

メルトは再び釣りを再開し、魔王たちは海での遊びを満喫し始めた。


「それでは・・・ヨーイ・・・ドンです!!!」

「うぉぉぉおぉぉ!!!あのフラッグは俺がもらったぁぁぁ!!!!」

「ハハッ!!人間の脚力に負けはしないッ!!!魔王の足を舐めてもらっては困る!!!!」

魔王の声と共にハルトをぶっちぎり、フラッグを余裕で回収する魔王に対し。

ゲームにならねぇと途中で引き返してキルりんとメルトの方に向かおうとすると・・・


「お、おい!?わ、悪かった・・・次はもう少し手を抜いてだな・・・

その・・えっと・・・魔王げのないことをして悪かったから無視をしないでくれ!?」

「なぁどうする?どうせ次に何かするにしても魔王の何とかとか言って自慢するだけだよな?」

「そうですね。

こういう肉体を使った競技で魔王のスペックに敵うはずがないのです。

力を押さえた所でどうせどこかでこれ見よがしに使うに決まってます。」

ハルトとキルりんの言葉に魔王は必死に力を押さえるから遊んで欲しいと泣き付き。

次に力を使えばこれ以上は遊ばないと約束した上でハルトたちは次の遊びを考えに考え・・・・


海水浴競争に決まり、ハルトと魔王との一騎打ちが始まろうとしていた。


「何もない状況でできる遊びってコレくらいだもんな。

そんじゃ・・・ヤルか・・・・でも、わかってんな?魔王?」

「あぁ、もちろんだ。

人間のステータスを超える以上に力を使わない。

それに魔法もな。

それじゃ、さっそく泳ぐとしよう。」

「さぁ・・・位置に付いて・・・よーい、ドンです!!!」

キルりんの合図に2人は飛び出し。

ハルトが少しだけリードするように泳いでおり。

魔王もそれに負けじと人間のステータスを維持しながら泳ぎ・・・・

岩を回って先に出て来たのはハルトで、その後に続くように魔王が泳いできており。

このまま勝負がつくのかと思った瞬間――――――――――


「ブハッ・・・ブハッ・・・あと少・・・ぶぐぼァッ!?!?」

「ハッハッハ!!!海藻にでも足を取られたのが運の尽きだったな!!!

それでは私は先にゴールさせてもらうとしよう!!!」

「ゴ~ル!!勝者は魔王~~~

ったく・・・あれだけ言っておいてハルトは情けないですね。

まさか途中で沈むなんて・・・ん?そう言えばハルトは海面にいませんが・・・・大丈夫なのでしょうか?」

キルりんの言葉を聞いた魔王は、ハルトがどこにいるのか見渡し。

どこにもいないと感じると、ハルトが沈んでいった地点まで泳ぎ・・・力を使って潜っていると――――――――――


「ばぶど(ハルト)!?」

「ぶばごがごごごぼぼぼごあごぼあ・・・・・・ぶぐほッ!?」

ハルトは巨大なタコに捕まって沈められており。

魔王はそれを見ると、すぐさまハルトをタコから救出して浜に飛び出し。

ハルトの顔を叩いて意識があるか確認をするが――――――


「おい、ハルト!!ハルト!!!!!」

「ダメです・・・息をしてません・・・・叩くか人工呼吸で蘇生しなければですが・・・・・あ・・・・」

魔王は間髪入れずにハルトの蘇生の為と口付けして酸素を送り込むと・・・・・


「ぶはぁッ!?ぶへ!!おへッ!!ゼェゼェ・・・・死ぬかと思った・・・・」

「ハルトぉぉぉ!!!良かった!!!無事でよかった!!!」

「本当に一時はどうなる事かと思いましたよ。

がなければハルトは永遠に眠ったままになっているところでしたよ?」

その瞬間、魔王のとハルトは人工呼吸のワードに互いに意識したのか・・・・顔を見合そうとせずに背中を向け。

ハルトは普段ではドキドキしないはずの魔王に人工呼吸をされただけで胸が高鳴っており。

魔王も同じように顔を赤く染めながら恥ずかしさの余り海へもうひと泳ぎし始めに向かって行ってしまっていた。

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