138日目 レッツ雪かき大会

ハルトは完成したスープを部屋の前まで持っていき。

こういう時は大体何かあると踏んで部屋に入る前にノックをすると。

キルりんの声の合図が聞こえ部屋の中に入ると。

魔王はパジャマ姿になっていた。

それとは別にメルトと言うと・・・ハルトの持って来たスープの匂いで美味しいモノと判断したのか急に起き上がって要求し始めたが、先に魔王からと言ってハルトは魔王にスープを与えた。


「どうだ魔王??口に合うか??」

「あぁ・・・ここは天国のようだ・・・・それにスープも格段に美味しい。

「私の分はまだかしら~~~早く食べないと死んじゃうんですけど~~~」

「それだけ言えるのでしたら自分で取りに行った方が早くありませんか??

と、言うより・・・ロープを待たずに強行するとは予想外でした。

でも、本当に3人が無事でよかったです。

あのままかとも思いましたが一応は助けに戻って正解でした。」

キルりんの言葉に3人はキルりんに睨みつけると・・・キルりんは冷や汗をダラダラと流しながら正座して深々と頭が床に密着する程に下げて謝罪し。

それを見た3人は今回だけは許すと言うと、キルりんはスイッチを切り替えたかのように元のキルりんに戻り部屋を出て行った。


「やっぱり私の言った通りじゃないか・・・下手をすれば私たち3人は雪の中で化石になっていたかもしれないぞ??」

「そうだな、今回は魔王が正しかった・・・キルりんにはもっと仲間のために動くと言う事を学んでもらわないとだな。」

「そうね!!!でも今はそんな事よりも・・・私のスープはまだかしら!?

お腹ペコペコなんですけど!!」

「だから、それは悪かったと何回も謝ったじゃないですか・・・あと、メルトの分のスープと私たちの分を運んできました。」

キルりんが運んできたスープをハルトたちが受け取って呑み始めると。

メルトはハルトが魔王にしていた「あ~ん」をして欲しいと甘えたがハルトは元気そうなメルトに対し、それだけ喋れるのなら大丈夫と言うと。

メルトはチッと舌打ちをしてから自分でスープを飲み始め――――――


「はぁ~~美味しかった・・・・ハルトの料理が何故か一番美味しいわね。

何でかしら・・・男のハルトが私たち女組よりもおいしいなんて生意気ね。」

「そうか??私は調理場に立つハルトは凛々しく見えたぞ。

男も料理をするのも実に悪くない。

むしろ私はハルトに感心したぞ!!!あの卵かけご飯の時からな。」

「あの初めてハルトが作ってくれたですね。

あれもなかなか美味でした。

それじゃ私とハルトはソファーで待機してますのでまた何かあれば呼んで下さい。

そう言ってハルトとキルりんは部屋から出て行くと。

ハルトとキルりんは2人とも重症じゃなくて良かったと安心してソファーに座り込むと。

さっそくメルトからお呼びが入り、肩をもめとキルりんに指示が入ると。

キルりんはケガ人に対して強烈な関節技を決め。

メルトを再起不能にしてハルトの元に戻って来ていた。


「おい・・・アレはやり過ぎじゃねぇのか??

一応メルトもケガ人だと思うんだが。

キルりんはケガ人相手でも容赦しないのか??」

「そりゃそうでしょ??私はアサシンのキルりんですよ??

病人にも子供にも容赦はしません。

生半可な覚悟では大切なものは守れませんよ??ハルト??」

キルりんの物言いに重さを感じながら次にハルトが呼ばれ。

魔王は泣きじゃくるメルトを泣き止ませて欲しいと言っており。

ハルトはメルトに近づき、泣き止むように説得すると。


「それじゃ・・・寝れるまで手を繋いでてよ・・・・ぐすん。」

「はぁ!?何で俺がそこまでしなけりゃいけんぇんだよ!!!」

「そうだぞ!!メルト!!そこまで要求するとは私も我慢せていたと言うのに!?

あ・・・・ち、違う!?誤解をしないでくれ!!

私はその・・・違うのだ!!」

魔王は布団の中に潜り込むと・・・ハルトは手を出してにぎにぎするメルトの手を握ってやると。

メルトは涙を拭いて目を閉じ、数分でスヤスヤと眠りの世界に誘われていた。


「で、どうでした??メルトは寝ましたか??」

「あぁ・・・メルトも魔王に結構魔力を使って疲れたんだろう。

回復させる魔法は攻撃する魔法よりも消費する魔力がすごいらしいし。

2人のおかげで助かったのも事実だからのな。

これくらいは・・・ギリギリしてやるのが男ってもんだろ??」

「だったら私にもしてくれていいんじゃないのか??」

寝ていたようにそっぽを向いていた魔王はゆっくりとハルトたちの方に振り向くと。

手を出して待っており・・・ハルトは頭をかきながら仕方ないと言って魔王の手も握ってやっていたのだが、なぜか魔王は一向に寝る気配がなかった。


「なぁ、魔王??早く寝てくれないか??

ずっと握っているのも疲れて来たんだが・・・・」

「そう急かすんじゃない・・・私にだって心の準備があるのだ。

ハルトに手を握られたことによって心臓の高鳴りも全てがスーパーハイテンションになってしまっているのでな。」

ハルトは魔王の例えに手を放そうとすると、魔王は例えが悪かったから待って欲しいとハルトを止め。

再びハルトが手を握り直すと・・・魔王は少しだけ話に付き合って欲しいと言い出し、魔王が話し始めた。


「その・・・なんだ・・・次はこういう遊び以外に。

暖かくなれば皆でピクニックにでも行きたいな。

私はそう言ったのをしたことがなくてな・・・・ハルトたちがしてくれるのであればぜひ私のワガママに付き合って欲しいと思うのだが。

どうだろうか??」

「それなら・・・かまわないが。

でも、メルトとキルりんを説得できたらだな。

それに・・・春になったらまた依頼の再開だから覚悟してくれよ??

今の冬場はあまり依頼がないみたいだが・・・時々いつもより多く積もる際には雪かきとか害獣が出たら一部地域の見回りがあるらしいし。

その辺もしっかりやらないとだな・・・・って、俺の話は聞かずに寝やがったのか。」

と、ハルトはぶつくさ言いながら魔王の手を布団の中にしまうと・・・キルりんのいるソファーまで移動して横になると。

ハルトも疲れているのか目の前がフワフワと揺れ出し。

そのまま深い夢の世界へと落ちて行った。


そして翌日・・・・キルりんに起こされて目覚めたハルトは。

元気になった魔王とメルトが目に飛び込んで来た。


「あらあら~私たちよりも遅いなんてハルトさんは本当にダメな使い魔ね?

でも、今日の仕事は雪かきだしハルトがいなくても全然へっちゃらよ!!

でしょ?魔王??」

「そうだな!!一晩寝たからすっかりと魔力も体力もフルチャージされている。

これも全てハルトたちのおかげだ。

ありがとう。」

「だったら朝飯食ったら冒険者とハンターたちと手分けして家の雪かきをするか。」

「ですね、まさか今日がその言っていた雪かきになるとは・・・・

力が必要になりそうですししっかりと食べておかないとですね。」

昨晩はいつもより多く雪が降り積もり、雪かきが行われることを知らせに来たモノがメルトに伝えたのだろうと察し。

ハルトたちは急いで食事を済ませると、せっちゃんや街の馴染みのある冒険者にハンター・・・街の住人が集まって雪かきが開催されることとなり。

何故か商品が出るとのことで・・・雪かきのルールが説明された。

そのルールとは・・・雪は指定された袋の中に収納し。

その袋の数で順位を決めると言う事になっており、時間は夕方までとなっており。

それ以上のルールがない事からチームプレイも可能と判断したハルトたちは今回は全員の力を結集させて優勝を目指すと燃えていた――――――――――

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