86日目 魔王の一日奴隷

リビングで待っていると、服を着替えた魔王がリビングにやってきたが。

魔王はハルトの隣にどんっと座り、髪を向けてくしでとけと言いだし。

ハルトはモヤモヤした感情を押し殺しながら魔王のサラサラの綺麗な髪の毛にくしを入れて解くと。

魔王はハルトのくし使いに満足したのか・・・これからもハルトにしてもらおうかとフザケると・・・


「おっと、もうお昼か。

そろそろ昼食を食べに行くとするか。」

「え、あぁ・・・俺も腹減ったし・・・酒場で何を食おうかな・・・・」

と、ハルトが酒場と言ったとたん魔王はハルトの唇に指をあてて酒場にはいかないと耳元で言い。

魔王に連れられていつもとは違うシャレた店にやってきた。

その店は現代で言う洋風レストランでメルトやキルりんたちが一緒では恥ずかしくて入れないと言った雰囲気の高級感あふれる店であった。


「おい、俺・・・あんまり金持ってきてないぞ??

大丈夫なのかココ・・・高そうだが・・・」

「大丈夫だ、ここは私が奢ってやる。

それに値段もそれほど高くない・・・ただ、あの2人が一緒だと騒がしくて私たちが恥ずかしい思いをすると思ってな。」

魔王は地味に2人にダメ出しをすると・・・メニュー表から先に決めていたらしいメニューを注文すると。

何故かお酒が注がれたグラスが並べられ・・・・


「さぁ、ハルト・・・昼からお酒だが。

ここは我慢して楽しもうじゃないか。

それに、お酒はこの一杯だけだから安心していい。」

「そうか?まぁ・・・これを呑んだ時点でメルトの事を言えなくなるが・・・まぁそれはどうだっていいか。

ん?おいしいなこのお酒・・・・」

魔王はハルトのリアクションに笑みを浮かべ・・・お酒の説明をしていると、料理が運ばれてきた。


「さぁ、美味しそうな料理をいただこうじゃないか。」

「あぁ、それじゃ・・・いただきます・・・」

ハルトと魔王はあまり会話をすることなく美味しい料理を食べ・・・

残るはデザートを残すのみとなったところで――――――


「ん??何だこの揺れは・・・・」

「ん?どうしたんだ魔王???特に揺れ何かお??」

ハルトは魔王の胸がぷるぷる震えだすのを見ると・・・それよりも辺り一帯が震えているのに目をやり、らしきものが収まると。

ハルトたちは何があったのかと外に出て確認してみると、そこには遠くの方から爆発でもしたかのような巨大な煙が吹き上げていた。


「何だったのだ??さっきの揺れと・・・先ほど感じたアレは一体・・・」

「地震以外に何か感じたのか??」

ハルトは揺れ以外に何も感じなかったと魔王に答えると・・・魔王は気のせいだと言ってデザートを食べてハルトと共に家に戻って。


「で、昼も食べて家に戻ってきて・・・何をしようってんだ??」

「そうだな・・・この空白の時間の埋め方を考えていなかった。

ん~困った・・・あ、その腰にぶら下げたあまり使っていない剣の稽古なんてどうだ??

これでも私は魔王になるためにある程度の教育をされているからな。」

だが、その実態は城も魔王の競争も興味がない・・・魔王と呼ぶに相応しくない魔王と辛口のコメントをすると。

魔王は剣を取り出して表に出ろとケンカ口調になっていた。


「ハルト、これでも私は誇りを忘れていない魔王だ。

その腰にぶら下げた剣が使えないのならば・・・ハルトはミンチになってしまうぞ!!!

さぁ、この一撃を耐えて見ろ!!!!」

「魔王!!!少しは手加減しろよ!?

ぐぅ・・・なぁバロン・・・この剣はちゃんと使えんのか??

使えるようにしておくって言ったが・・・」

「あぁ、ハルトが使えるようにはしておいたが。

ん~まぁ、あとはハルト次第といった所だ。」

何だか勿体ぶった言い方をするバロンに構っておられず・・・ハルトは剣を抜いて魔王の剣を受け止めたのだが―――――――


「ぐっぞぉぉ・・・こんなの耐えた所で腕と足と腰に聞いたことのない音が響いてるだけだぞ!?!?」

「よくぞ耐えた・・・それでこそ・・・ハルト・・・にょわ!?

どうして・・・私の魔力の服がぁぁぁ!?」

バロンが言いかけてやめたのはこの事なのかと、バロンを呼び出して内容を聞くと・・・この剣は斬る用ではなく、相手の攻撃を受けて退魔の効果を付けて跳ね返すのような効果を持つ不思議な剣で。

剣を鞘から出すための稼働と持ち主の認証に血と肉、精神力と魔力を食われると言った半分は魔具・・・通称呪いの武器と言ったモノらしいが・・・不死者のハルトとの相性が良かったのか。

無事に使えていることからバロンは問題ないと勝手に納得していた。


「こんなのをあの店主は売りやがったのか・・・・

で、魔王・・・大丈夫か??ホラ、俺の上着でも着ろよ・・・・」

「あぅ・・・す、すまない・・・まさかハルトにこんな隠された・・・・

人の服をに引き裂く能力があったとは・・・・女性キラーハルトの誕生と言うところだな――――――」

魔王に悲しいくらい程度の低い二つ名をもらい・・・魔王をそのままビリビリの格好にしておくこともできず。

家の中に戻ると、魔王の衣装は元に戻っていた。


「あぁ、驚くのも無理はない・・・これは私の魔力で作っているモノだ。

だからある程度の魔力抵抗や打撃に対しても強い耐性があるのだが・・・・

どうしてひよっこハルトにビリビリにされたのかが不思議なんだ。

一体ハルトは何をしたと言うんだ??」

「バロンが言うには・・・この剣の能力だと。

どうやらこの前抜いた時に持ち主登録とかされたらしい。

この剣を使えるように設定したのはバロンだがな。」

魔王に剣とバロンのしたことについて詳しく話すと・・・

魔王はハルトがこの剣を持っている時に攻撃をすれば裸のような格好にされると言う解釈をして覚えていた。


「服装だけにダメージを与える武器じゃないと思うんだが。

多分だが魔王の服に使っている魔力に反応したんだと思う。

俺はあまりそう言ったことに関しては知識がないからな。

RPGの作品をある程度はやり込んでるが・・・こんな攻撃待ちの武器はこちらが不利なんだよなぁ。」

「RPG??何だかわからないが・・・ハルトに隠された、その・・・能力というわけだな??」

魔王にはどうやってもこの剣の能力がにしか聞こえておらず・・・・もじもじしながら剣をチラチラと見て。

ハルトにできて私にできないはずがないと剣を鞘から引き抜こうと試みるが・・・


「はぁ、やはりビクともしないか・・・」

「魔王の並外れた力でも抜けないとなると・・・認証の効果も大したもんだな。

後は役に立つように使い道を考えないとだな。」

ハルトは魔王から剣を返してもらい、ついでに剣を鞘から抜くと・・・魔王は不思議そうに剣を見つめていた。


「で、あの2人はいつまで帰ってこないつもりなんだ???」

「きっと夜まで飲むつもりだろう・・・どうだ?少し様子を見に行かないか??」

魔王の提案にできあがったメルトに合うのは不安でしかなかったが・・・ハルトはメルトの迷惑行為が広がる前に一度見ておくことにして酒場へと向かうと・・・


「げひゃひゃ!!!じゃんじゃん飲むわよぉ!!!!

さぁから揚げにマメもッて来なさいよ!!!」

「いいぞメルト!!

俺達もメルトに負けねぇくらい飲むぞ!!!!」

「おぉぉぉ!!!!」

「あぁ・・・早く帰りたいです・・・ズズ~~~」

酒場の入り口から魔王と2人で覗くと、ご覧のありさまと言った状態で・・・・ハルトと魔王はこりゃ駄目だと感じて、そっと家に戻って行った――――――――

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