~第二章~「他の魔王を探して三千里?」

32日目 春の目覚め・・・・

異世界に来てから数ヵ月が経ち・・・季節は冬から春になり、外で凍り付いていた元人間のカエルたちもされ、薬の効果が切れたカエルたちは無事に人間に戻ったのだが・・・帰り際メルトに対して暴言を吐き捨てて帰った。


「庭をぐるっと見てきましたが、さっき元の姿に戻ったカエル人で最後のようですよ。」

「やっとカエルの姿を見ずに表に出られることはいい事だが・・・メルト、お前は今度から変な薬品を作るの禁止な??」

「ハァ!?何が変な薬品よ!!!私は依頼者たち(カエル共)1人1人の意見を聞いて調合して作ったモノよ!ちょっとだけ私のテイストが入っているけどそこまで酷い結果になってないから別にいじゃない!!!」

「そう言っても・・・メルトの追加テイストで依頼者は全員もれなくカエルになったとなると、薬屋での信用は無くなるだろう。

だが、季節は春になったんだ害獣駆除の依頼とかで生活費を稼ぐのが無難だと思うぞ。」

長い冬を王のイベントで得た賞金でやりくりしたのはいいのだが・・・残ったゴールドはわずかで、これからの事を考えると冬が来る前に蓄えられるだけ蓄えるのが望ましと考え・・・・食事を済ませた後、ギルドで報酬の良い依頼を探すこととなった。


「ん~やはりギルドは害獣駆除の依頼と他の村からの遠征依頼が多数貼られてますが・・・・ハンターや冒険者もワラワラしてますね。」

「そうだな、俺たちも負けてられない!!!依頼を取りに突っ込むぞ!!!」

「私はパスよ!!!あんな人ごみに入ったら・・・絶対にもみくちゃにされてお尻とか触られるに決まってるわ!?魔王もそう思うわよね??って?アレ?魔王は??」

「お~い!!3人とも早く依頼を探すぞ!!!!何だか祭りのようで思っていたよりも楽しいではないか!!!アハハハ!!!」

魔王はすでに人ごみの中で依頼を見ており・・・後れを取ったとキルりんと人ごみの中に入り、依頼を探したが―――――――


「くそぅ・・・残ってた依頼はどれも凶悪な感じの害獣駆除ばっかで俺たちがまともにこなせそうな依頼はなかっ―――――――」

「ただいま戻りました・・・こ、これなんてどうでしょう???」

「キルりんの事だからまた採取系の依頼でも持って来たのかしら??

えっと何々・・・・ドロップワームの採取――――――

・・・・キルりん、これを元あったところに戻してらっしゃい。」

メルトは顔を青く染めながらキルりんに依頼書を渡す前にその依頼書を奪って内容を確認すると・・・・

冬が終わった後の山には冬眠から目覚めた様々な生き物が顔を出すのだが・・・その目覚めた生き物の素材を使ったお菓子が冬を開けたことを知らせる縁起がいいモノでそのお菓子を作る際に欠かせないのがと言うわけだが・・・その虫は見た目がアレらしく、冬の終わった直後の山へは女性やハンターたちですら近づきたくない程であるらしい。


「それじゃ、そのドロップワームを生きたまま捕獲すれば報酬がもらえるってわけだな??

にしても・・・1匹1万5千ゴールドは大金だと思うが、どうしてみんなやらないんだ??」

「それはですねぇ・・・見た目もありますが、たまに栄養を蓄え過ぎたのか巨大なドロップワームが出るとかという情報がありましてですね。

冬場の寒さが強ければ強いほどドロップワームは甘い蜜と栄養を蓄えるそうなので今回は相当寒かったですからねぇ・・・かなりの大物が期待できるかと。」

「嫌よッ!!!イヤイヤイヤイヤ!!!私絶対に行きたくないわよ!!!

あんなキモイ虫を見るだけでも嫌なのに触るとか・・・死んだ方がマシよッ!?

使いいからこの依頼に参加しなくていいのなら命くらい捧げ――――――――――」

ねェ~~ズバッと♪」

メルトの願いが叶ったと言うべきか・・・・メルトの体にあの鎌が突き刺さり、魂がポコンとメルトの形をして飛び出し・・・メルトはバタリと音を立てて崩れ落ちた。


「ヤッホ~皆さん、ただいまデ~ス。

皆の近くにいる死の天使アズラえるだよ~~~」

「バカヤロウ!!!こんな白昼堂々とバカメルトの魂抜く奴があるかッ!!!

早く元に戻せッ!!!」

「そ、そうですよ・・・あぁ・・・本当に魂が抜けて体がひんやりとこんにゃくの様に冷たくなってしまっていますよ。」

「ぬはッやっと出られた・・・にしてもいいモノがなかったな・・・私1人だと楽勝の依頼が幾つかあったが、ハルトたちと一緒だからな・・・ん?どうしたんだ??なんだかメルトの顔色が悪いような・・・・のようだぞ??で、そこの天使は誰だ??」

魔王の発言にメルトの魂が付いた鎌を振り回しながらアズラえるは自己紹介をすると、魂だけになったメルトが怒鳴り始めた。


「ちょ、ちょっと!!!なに私の魂引っこ抜いちゃってんの!?

アズラえるは冗談が全然通じないんだから!!ホラ、怒らないから早く魂を戻しなさいよ!!!じゃないと呪うわよッ!!!」

「ん~ちょっと呪われても見たいけど~今回は死亡体験と言う事にしておいてあげるけどォ~~今度、軽い発言でもアンナ事言ったら本当に神に誓っていただいちゃうからネ??」

「朝からお前らは騒ぎを起こさんと気が済まないのか???

良いからさっさとその魂メルトを冷めたメルトに突っ込んで捕獲に向かうぞ。

いや、待てよ・・・アズラえる、で入れよう。

何せ、ここで入れたら絶対にややこしくなうからな。」

「フムフム、これがハルトたちの言っていた天使か・・・私も何度か見たことがあるが話したのはこれが初めてだ・・・いや、今はそんなことを言っている場合ではないな。

依頼と言っていたが、何かいいモノが見つかったのか!?どれだ!どのクエストに向かうのだ!?」

「本当に朝からイベント盛りだくさんですね・・・・アハハ・・・」

メルトの魂は刺さった部分を引き抜こうとするが微動だにせず・・・ギルドからメルトの体を背負ってドロップワームの生息地である山に移動すると雪は残っておらず、虫の気配や生き物の気配が漂っていた。


「で、ハルト・・・この騒がしく生きのいいメルト魂はいつ入れればいい??」

「ちょっと待てよ・・・これをこうしてっと・・・・よし、いいぞ~魂入れてやってくれ。」

「何でしょうか・・・コレは・・・ハルトにはこういう趣味があったのですか??」

「人の首に首輪とは・・・ハルトはやはり魔王側の人間ではないのか??」

「んん・・・やっと元の体に・・・・って、何よコレッ!?私の首に何ちゅうもん付けてくれちゃってんのよ!?

バカハルト!!!これを付けるなら逆でしょ!!!アンタが首輪をつけて私が縄を引っ張るんでしょうが!!!って・・・何・・・鍵付きッ!?」

メルトの首に逃げないようにと首輪とリードを付けて・・・逃げられないようにしたのはいいのだが、キルりんの視線が冷たく・・・アズラえるや魔王の視線が妙にキラキラしているのを無視しながら・・・ドロップワームのいる木が生える森奥へと進むと――――――――――


「ギャァァァァアァァァァアァ!!!!虫デタッ!!!!!イヤイヤイヤイヤ!!!私、お家に帰るゥ~~~~」

「やかましいぞメルト犬!!!ワンワン吠える暇があったらこの特性万能手袋で捕獲しろ!!!」

「ハルト~妙に優しいところあるじゃないですかぁ~~で、私の分はどこですか???」

「私は平気だからこのままで平気だ。」

「ワームさんはイイコですね~~はい、この袋の中にお入りやす~」

手袋はメルトの分しか確保できず・・・メルト以外は手掴みでドロップワームの捕獲を開始したが、キルりんも多少苦手らしく・・・悪戦苦闘しながらドロップワームを捕まえて袋に捻じ込んだ。


「あひゃひゃひゃひゃ!!!この手袋があればグロテスクワームを捕まえるなんて造作もない事・・・今回だけはハルトを褒めてあげるわ!!!光栄に思いなさい!!」

「おいメルト、上から降って来てるぞ~~~」

メルトは頭の上にワームを乗せながら意気揚々と語るが・・・ワームの感触を感じると、冷や汗をかきながらワームを掴んで投げつけ・・・キルりんの顔面にヒットしてワーム投げ合戦が始まった―――――――――

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