7日目 飲酒は成人になってから
家に戻ったのはいいのだが、なぜかキルりんとメルトは話をはじめる前にやる事があるとか言い出し・・・待ってから数分後に2人がパジャマ姿となってやってきたのだが、メルトの手にはシュゴビーのビンとグラスが2つ・・・
キルりんの手には黄色い液体の入ったビンとゲソが握られていた。
「はい、ハルトも呑むでしょ??」
「一応聞いておくが・・・アルコールが入った状態でこの案件の答えが出るとは思えないのだが???
ってか・・・キルりん・・・お前家に帰っていいんだぞ??」
「なッ!?ここまで来ておいて今さら私をウチに返すなんてハルトは悪魔ですか!?
それに・・・私には帰るウチが―――――」
キルりんは寂しそうな顔をしながらボソボソっと言うと・・・メルトは慰めるようにジェスチャーをすると、俺は仕方なく慰めようとした時―――――
「まぁ、ルームメイトが男を連れ込んで愛の巣にして居ずらくなったから抜けたんですが・・・・本当にこの世は爆発させ甲斐がありますね・・・ハハハハハ・・・・・」
「えっと・・・その、なんだ・・・メルトと同じ部屋でいいなら好きにしてくれ・・・・べ、別に仲間にするとかそういう話じゃないからな!!!」
「へぇ~ハルトにしては優しいじゃない?何かいい事でもあったの?
いい事があったのなら教えなさいよぉ~~って、まさか!?1人で利益を得る話じゃないでしょうね!!!それは駄目よ!!!私の使い魔なんだからちゃんと私にも話を付けてもらわないと!!!せめて私にも少しワケ―――――」
話の流れ的にこれ以上ややこしくされる前に・・・メルトの頭にガツンとゲンコツを決め込み・・・大人しくさせ、素に戻ったキルりんがどうするのか真面目に提案してきた。
「私に良い考えがあるのですが・・・まず、魔王にハルトが死んだことを伝え・・・その証拠にハルトの体の一部の提示が必須になるのですが。
ハルトは不死身で痛みはありますが・・・腕や体の部位的に分離が可能と推測できるのですが・・・この提示部分をクリアできれば簡単なのですが。」
「それなら切っちゃえばいいじゃない?私の使い魔なんだし・・・ハルトってば大げさなのよ・・・私のために腕の1本や2本落とせなくて何が使い魔よ!」
「バカ!!!俺はコレでも人間だ!!!簡単に渡せるわけないだろ!!!
それにお前のために腕を落とす馬鹿はこの異世界中を探しても誰もいないだろうよ!!いるって言うのなら、そこのキルりんに聞いてみろよ!!
私の命のために腕を下さいってな!!!」
メルトは涙目になりながらカクカクとキルりんを見ると・・・キルりんは汗をだらだらと流しながら・・・目を合わせようとしなかった。
「うわぁぁぁぁん・・・・みんなが私を虐める~~~~!!!」
「えっと、ハルト・・・さっきのは例えが悪いですよ?でも、いざ貸し手と言われても考えて結論が出るまで3日はかかりそうですが・・・」
「だろ?俺も同じ気分だ・・・さて・・・どうしたもんだか―――――」
泣きじゃくるメルトを放置しながら俺たちは考えに考え・・・やはり腕を見せるしかないと、キルりんに俺の提案をヒソヒソと話し・・・俺のいた世界で言う麻酔の代わりになる液体を飲み干すと・・・キルりんは間髪入れずに腰にぶら下げた忍者刀で腕を切り落とした。
腕が宙に舞い、ボトッと落ちた音にメルトは何が落ちたのかを見つけ・・・そっと俺を見て顔を真っ青にして話し始めた。
「うぇぇぇぇ!!!な、なにやってるのよ!2人とも!?は、ハルトの腕がピクピク動いて・・・」
「ボケっと何、見てるんだよバカメルト!!!あぁ・・誰でもいいから早くその腕を傷口にくっ付けてくれ!!!
こんな自分の腕がピクピク動いてる映像は1秒でも見たくない!!!早くしてくれ!!!」
「わ、わかりました!!!では・・・いきますよ・・・・うわ・・・気持ち悪い・・・うぅ・・・えいやッ!!!」
キルりんが俺の腕を気持ち悪そうに持ちながら傷口に付けるとピッタリとくっ付き・・・問題なく動いた。
「ど、どうですか???しっかりと固定はできている様には見えますが・・・・」
「傷口は回復してる・・・違和感も特にない・・・だが、これで切り離しができると言う滅茶苦茶な人体実験で実証できたわけだが・・・おい、そこのオカルト女・・・いつまで青ざめているんだ???」
「無茶言わないでよ!!!私はこれでもグロ態勢0なピュアな魔法使いなんだからね!!!
人の腕が転がってるのを見たらそりゃブルーにもなるわよ!!!バカ!!!
こういうヤバイことする時はちゃんと私に許可取ってからしてよ!!
んで?これで何をする気なのよ??バカハルト。」
バカハルトは聞き捨てておけず・・・メルトにグリグリをかましながら今回の偽装工作の手順を話すとこうだ・・・・
まず、実証した通りに腕を分離し・・・キルりんに運ばせて魔王に見せ、死亡の確認をしてもらった後にこの町で合流すると言う流れだ。
その流れを話すと・・・・
「それじゃ、作戦も決まった事だし!!!今日はじゃんじゃん飲むわよ!!!
あ、キルりん・・・そのゲソちょうだいな。」
「仕方ないですねぇ~私はジュースだと言うのに2人はお酒ですか??
2人は一体何歳なんですか???この世界のお酒は成人である16歳からですよ??」
「俺はこれでも16歳なんだよなぁ~~悪いな・・・おこちゃま」
俺はグビグビとシュゴビーをメルトと飲んでいると・・・俺の歳にメルトはむせ返り・・・・
「アンタ!?私より年下なのにそんな舐めた口をきいているの!?
敬語とか使えないワケ??ダメ使い魔!!!」
「使えるわけないだろ!!敬語を使おうにもお前は主適性が低すぎるんだよ!!!
まずは女磨きをしてから言うんだな!!!あっはっはっは」
「くっ・・・屈辱です!!!12歳という都市の壁に持て余されるこの世界がとても憎いです!!!シュゴビーを一口だけ飲ませ――――――」
シュゴビーを飲もうとしたキルりんからグラスを取り上げてごくごくと飲むと・・・キルりんはナイフで俺の腹に3回ほどぶっ刺してきた。
「お前何すんだよ!?何回も刺すからシュゴビーが流れちまったじゃねぇか!!」
「いい気味です!!!飲めない私からしてみれば酒なんてドブの水と何ら変わりませ―――――ヒッ!?・・・・イダイダイ!!!イダダダダダダ!?」
「あはははははは!!!ハルトってばお腹からシュゴビー流して、めっちゃ笑えるんですけど!?あははははっはは・・・・あ?―――――イダダダダ!!!!」
イラっとした俺は腹にナイフを突き刺したキルりんとバカにしたメルトにグリグリを捻じ込み、後片付けを2人に任せてそのまま風呂に入り自分の部屋で眠りについた。
朝起きると・・・なぜかキルりんが俺の上で寝ており・・・手にはナイフを持っていることから寝ている俺の体を刺していたのだろうと答えは簡単だった。
キルりんが寝返りを打つと俺の体にナイフがブスリと突き刺さり・・・刺さった瞬間にキルりんをベッドから転がり落としてナイフを引き抜いた。
「んあ??もう朝ですか???ふわぁぁぁ・・・・むにゃむにゃ・・・
それにしても今日はいい天気ですね・・・いい暗殺が出来そうです。」
「お前なぁ・・・寝返りの際に俺の体で起こった惨劇をお前の体にも刻んでやろうか!?」
寝ぼけているのかキルりんは俺が見えておらず・・・目をこすり俺だと認識すると、キルりんは顔を真っ赤にして俺の手に持つナイフを奪い・・・俺の体に再びぶっ刺した――――――
「な、何でハルトが私と一緒にいるんですか!?
私はメルトと一緒に寝ていたはず・・・まさかハルトは私の体を狙って!?」
「お前の頭はどこまで小さいひよこ豆で構成されてんだよ!?お前のようなちんちくりんを襲うワケないだろうが!!!それに、俺が目覚めたときにはお前が何故か俺の上に乗っかってたんだ!!!この腹のナイフを持ってな!!!」
色々な箇所に過剰反応したキルりんは俺の腹のナイフを引き抜いて部屋を出て行き・・・メルトのいる部屋に駆け込んでいった―――――
そして、また・・・騒がしい1日が始まろうとしていた――――――
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