五 失恋野郎・高田の証言

瀬原が俺に話しかけてくるとか珍しいじゃん。ん? 聞きたいことがあるって? 一体なんだよ改まって、気持ち悪いな。……え? 三原のこと? なんでまた……。は?  ……いや、まぁ、三原に振られたことあるけどさ、そりゃ昔の話ってか。え、結構みんな知ってる? まじかよぉ……なんでそんな知られてんだよ、こえぇ。え、いつ告白したって? うーん、一年の冬だから、半年も前のことだよ。俺ももう吹っ切れてるし、今は彼女もいるし。彼女、すげぇちっさくて可愛いんだけどさ……は? 興味ない? んだよ、せっかく話してやろうと思ったのによぉ。ん? 三原は何て言ったかだって? 「好きな人がいるからごめんなさい」ってさ。まぁ、それが本当とは思いにくいけどなぁ。だって三原だぜ? 男子と滅多に話もしないし、浮いた話もないし。そう言っとけば振りやすいって思って言っただけな気がするぜ? まぁ、俺個人の感想だけどな。そんなことよりも彼女の話だって! 聞いてくれよ、すんごい可愛くて優しくてさぁ、なんとあの三原の友だちなんだぜ! 一週間前に付き合ったばっかりなんだけどな。一年のとき、俺と三原の仲を取り持とうと頑張ってくれてさ、すごい健気でいい子でな。ほら、隣のクラスの三橋だよ! あいつが俺の彼女でさぁ……っておい、まだ話途中だぞ、どこ行くんだよっておい!

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