第162話シエルとエリカ

 いつもの様にBARに寄るシエル。いつも彼女が来る時間帯には居ない筈の『先客』が居た。


 魔界時間21:00 BAR『ナイトメア』


 マスター:いらっしゃい。今日もお疲れ様でしたお嬢様♪


 シエル:この前はアリガト♪


 マスター:いえ、お役に立てて幸いです。


 シエル:じゃ、いつもの・・・ん?先客?


 ほろ酔い気分でカクテルを呑むエリカ


 エリカ:あら?貴女は・・・朝唯コンツェルンのシエル・朝唯・・・よね?


 シエル:そういう貴女は黒煬銀行こくようぎんこうのエリカ・カズクラフト?貴女ほどの超有名人が珍しいわね。


 エリカ:超有名人はお互い様でしょ♪


 シエル:随分機嫌良いわね。何か良い事でもあったのかしら?


 エリカ:ま〜ね〜♪魔界宇宙中央銀行での会談でね。魔界は人情溢れるトコだなぁと思って♡


 シエル:そ♪マスター、何かある?


 マスター:そうですね・・・・これなど如何でしょう?


 一杯のカクテルを差し出すマスター


 マスター:『ビー・ローズ』とあるダークエルフの集落で栽培されているクラウンローズという品種の花粉で出来た蜂蜜で作ってみました。ほんのり薔薇の香りがしますよ♪


 エリカ:クラウンローズって、私の故郷の薔薇じゃない!懐かしいわねぇ♪


 マスター:これも何かのご縁と思いました。如何ですかな?同じ『グリーンヒル王国を救う者同士』として。


 シエル:知ってたの⁉︎てか4大メガバンクもグリーンヒル王国のために動いてたなんて。


 エリカ:ホント、魔界宇宙も広いようで狭いわねぇ♪


 シエル:じゃ、数奇な出会いに乾杯♪


 グラスを交わす2人


 シエル:ふ〜ん。銀行としてだけでなく個人的にもやってたのね。私もやろうかしら。


 エリカ:いいじゃない!一緒にやりましょう♪


 シエル:そうね。だったらウチの系列の建設会社から派遣して住宅街の建設しよう。勿論費用は全て私持ち♪


 エリカ:お〜!やるぅ♪じゃ、ウチも費用融資しようか?


 シエル:金利は?


 エリカ:人助けしようってのに金利なんて野暮な事言わないの♪無利息上等!


 シエル:よっ!太っ腹♪


 マスター:フフ♪ではこの私からご提案がございます。


 シエル:?


 マスター:魔界宇宙財界の『この動きをよく思わない方』が痺れを切らして必ず現れます。何方どなたかお二方ならお察し出来るかと存じますが♪


 シエル:成る程、ゼウス様に頼んで先手を打ってもらうわけね♪


 マスター:流石お嬢様。ご明察です♪


 エリカ:じゃ、こっちも『先手』を打っとくかなぁ♪


 シエル:どんな?


 エリカ:ふふ〜ん。それはぁ、ヒ・ミ・ツ♡




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