第144話天上の罪人

 天界宇宙中央政府特務隊『シャドーエンジェル』長官ミランダ・レイナードと主従契約結んだ杏。ミランダの目的はどうやら『別』にあったようだ・・・


 魔界時間10:00 地獄界閻魔庁直轄監獄『ヘイルプリズン』


 囚人:私は・・・・罪を犯した。償いきれない数の命を・・・奪った。最愛の『女性(ひと)』の命も奪い、親友から憎まれる罪を犯した。そして間も無く私は閻魔法廷にて裁かれる。


 同時刻 王城女王執務室


 ミランダの膝に乗る杏


 ミランダ:如何ですか姫様♪


 杏:ほわ〜!きもちいです♪あたまのうえがやわっこくてあったかいです♡


 ミランダ:フッ、どうやら姫様は貴様のような『人工物』より天然物の私の胸がお気に召したらしい♪


 ハル:クッ!さぁ姫様〜、オヤツの時間ですよ〜♪


 好物のいちご大福を頭に乗せるハル


 杏:い、いちごだいふくです♡


 ハルによじ登り肩に乗る杏


 ハル:残念だったな、ここが姫様の『定位置』なんでな♪


 ゴゴゴゴ(一触即発ムード)


 アリス:お〜い、盛り上がってるトコ悪いんだけど。


 ミランダ&ハル:あ。


 アリス:で、ここに来る前『訳あり』って言ってたけど。


 アリスに跪くミランダ


 ミランダ:アリス・シルフィード女王陛下におかれましては此度を含む数々のご無礼お許しください。


 アリス:良いよ。で、『訳』って?


 ミランダ:現在地獄界の監獄ヘイルプリズンに収監中の囚人。アレは私の無二の友でした。


 アリス:『でした』?


 ミランダ:その者の名は『楓・エムカワ』元豊穣の女神でエネルギー産業相、私がお仕えしていた神王『ヴィーナス』様の治める国を滅ぼした女です。


 モニターに映るグローバリア公王


 グローバリア公王:その名、聞き覚えがある。確か第13代ヴィーナスのリディア・ヴィーナス13世・・・だったか。彼女の治める国で起こった大災害『次元大震災』で国民と共に犠牲となった『悲劇の女王』だったな。


 ミランダ:はい。ご存知の通り、天界宇宙の次元工学技術は魔界に遠く及ばず。次元エネルギー精製プラントはかなり不完全。そのため維持費が膨大な上に細心の注意が必要だったので、中央政府より援助金を受けている状態でした。


 麗華:思い出したわ。確かソレ、魔界側も援助と技師派遣を申し入れてたけど断られたって聞きましたえ。


 ミランダ:え⁉︎


 麗華:なんや?アンタはん知らんかったんかいな。確か魔界宇宙中央政府から直々に天界宇宙中央政府に申し入れたって魔界宇宙のニュースで話題になっとったえ。皆んな口々に言うはりましたわ。『援助と技師派遣を受け入れてたらあんな悲劇は100%防げた』って。


 ミランダ:そんな話・・・聞いてない!


 アリス:これはいよいよキナ臭くなってきたね。これ、事件の『当事者』に話を聞く必要があるね。ヴィオラ姐さん。楓さんの裁判は何時から?


 ヴィオラ:魔界時間で13:00・・・あと2時間です!


 アリス:皆んな行くよ!もしかしたら楓さんも『犠牲者』かもしれない!


 閻魔法廷開廷1時間前魔界時間12:00 地獄界閻魔大帝居城 『閻魔宮』


 羅刹:開廷まで1時間・・・ですか。


 秘書官:元女神とはいえ閻魔大帝様御自らが裁判にお出にならなくても・・・


 羅刹:『事』が『事』だけに『真実』は明らかにしないとです。被告人が『女神』ならこの『白い小箱』を証拠にと思ったですが、被告人が『死者』ならこの『閻魔帳』が使えるです。


 秘書官:死人の生前の過去を見通す12冊の『創生の書』の1つ『閻魔帳』故に死人を裁く法廷には『弁護士』も『検察』も『証人』も『証拠』も要らない・・・でしたね。


 羅刹:です。ま、『イレギュラー』があれば話は別ですがね♪


 秘書官:イレギュラー・・・ですか。


 羅刹:さあ!間も無く開廷です!


 魔界時間13:00閻魔宮 閻魔法廷


 羅刹:それではこれより『次元大震災』について裁判を行うです。被告人前へ。


 証言台に立つ楓


 羅刹:被告人。楓・エムカワ。元グリーンヒル王国エネルギー産業相。罪状は『故意災害罪』『大量殺天界人』並びに『同胞殺神罪』で間違いないですね?閻魔帳の前では嘘は通用しないですよ。


 楓:・・・・・はい。間違いござい・・・・


 法廷の扉が開く


 アリス:はぁ、はぁ、はぁ!ま、間に合った!その裁判、ちょっと待ったー!


 係官:な!何ですか貴女は?ここを何処だと・・・


 羅刹:構わないです。通しなさい。


 係官:で、ですが!


 羅刹:この法廷では私の言葉は『法』であり『絶対』よもや忘れたわけではないですよね?


 係官:ハッ!失礼しました!


 羅刹:シルフィード王国魔王アリス・シルフィード女王。被告人の『弁護をする』という解釈で間違いないですね?


 アリス:はい!羅刹様!


 羅刹:宜しいです。弁護するならそれ相応の『根拠』があるって事ですね?


 アリス:はい!


 楓:馬鹿な!私は災害を起こし多くの命を奪った『罪人』だぞ!


 アリス:楓さん。貴女は災害は起こしても『命は奪っていない』


 羅刹:その『根拠』は?


 アリス:根拠はその『閻魔帳』に記されているのではないですか?羅刹様。閻魔帳は被告人の『情報』が記載される。そして生者も記されるのは魔界・冥界・人界のみ。


 羅刹:確かに。この閻魔帳には何処にも『名前と情報』はないですね。


 アリス:であれば先ず消える罪は『大量殺天界人』それと同時に『同胞殺神罪』


 羅刹:肝心の13代ヴィーナス。リディア・ヴィーナス13世は何処に居るですか?


 アリス:それこそ『同胞殺神罪』にならない1番の根拠。閻魔帳に記されるのは『死者』のみ。そして唯一天界宇宙の者は生きていれば記載されない。閻魔帳唯一の『弱点』


 羅刹:成る程。で?当の本人は何処に?


 アリス:人界の異界No.123の次元の宇宙で捜索隊が発見保護されたという情報があります。


 羅刹:情報源は?


 アリス:グローバリア公王の持つ魔王具にして12冊の創生の書の1冊『万里の見聞録』です!


 羅刹:・・・・・たった今中央政府から連絡があったです。お前の言う通り現在魔界宇宙中央政府が手厚く保護しているそうです。では被告人・・・前へ。


 再び証言台に上がる楓


 羅刹:元グリーンヒル王国エネルギー産業相楓・エムカワ。大量殺天界人と同胞殺神罪の容疑が晴れた事により、『故意災害罪』並びに『女神同性愛罪』で豊穣の女神の地位を剥奪。邪神転生の後シルフィード王国に身柄を預け、保護観察処分とする。当法廷はこれにて閉廷!


 閻魔の木槌が法廷に鳴り響く








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