第67話再会

 祝賀会を終えアリスは魔王になって初めての帝王都議事堂入りをする事になる。これは毎年12月に行われる魔界全ての魔王の恒例公務である。そこでアリスはある人物と再会する事になる・・・


 魔界時間15:19 帝王都 魔界宇宙中央政府議事堂


 議員A:おい、アレ・・・


 議員B:ん?ああ、魔界宇宙最年少で政界入りした上院議員ケビン・オゾノンか。


 議員A:総務畑の叩き上げ。あの若さでかなりの手腕だっていうじゃないか。


 議員B:まだ170歳(人界換算17歳)だったな。若造が・・・


 秘書:かなりの評判ですね。良くも悪くも。


 ケビン:言いたいヤツには言わせておけば良い・・・ん?


 アリス:やぁっと終わったね♪


 ヴィオラ:お疲れ様でした陛下。


 アメリア:どうするんだ?このまま帰るか?


 アリス:ん〜、ちょっと観光するのも・・・・あ。


 ヴィオラ:如何なさいました?


 ケビン:久しぶりだね。50年ぶり・・・か。あの頃から随分雰囲気変わったね♪


 アリス:そだねぇ〜。ここじゃグローバリア公王の魔王具があるし。あの人夕方に帰るっていうから今夜辺りゆっくり話したいんだけど。良い店知ってる?


 ケビン:だったらうってつけの店がある。


 アリス:じゃ、決まりだね♪


 5時間後20:19 料亭『茜』


 女将:あらいらっしゃい先生。今夜は彼女連れなん♪


 ケビン:ハハハ!そんなんじゃないさ。50年ぶりに再会した知り合いさ♪


 アリス:ふぅ〜ん。政治家で料亭っていうから金持ち趣味の敷居の高い感じかと思ったら良い雰囲気の店だね♪


 女将:おおきに〜♪ウチはこの料亭の女将で日比野 茜いいますぅ。立ち話もなんやし、どうぞお座敷の方へ。


 出された料理に舌鼓を打つアリス


 アリス:うんま〜♡どれも庶民的な感じだから自然と箸が進むし、味は文句無しの一級品!


 ケビン:それがこの料亭の1番の魅力さ♪それにしても君、変わったね。あの頃の君の目は正に冷酷な殺し屋そのものだったのに今はまるで棘を抜いて磨き抜かれた丸い球のような、それでいて表情も柔らかく優しくなった。


 アリス:あの頃の私の任務は君の暗殺だったからね。でもあの時君を殺さなくて良かったって今は心底思っているし、君のお爺さんは私を変えてくれた大恩人だからね♪


 ヴィオラ:陛下が魔界宇宙最強の元傭兵とは知っていましたが、そんな事が・・・


 アメリア:アリス、コイツの祖父って?


 アリス:現狐狸(こっくり)党党首、化け狸族の狸原(くりはら)源之助代表のライバル政党ダイモン党党首、ベリアル族のジョージ・オゾノン代表。それが彼の祖父なんだ。去年亡くなったけど・・・・


 ケビン:爺ちゃんが今の君を見たら凄く喜ぶだろうね♪


 50年前 オゾノン邸


 ジョージ:多くの命を奪った先に何がある?多くの血を流して何になる?その知恵と力を『救う』事に使ってみんか?『民を守る側』に立ってみんか?そうすればお嬢さんが『真に求めるもの』が見つかるとは思わんか?


 アリス:⁉︎


 満面の笑みを浮かべて語るジョージ


 ジョージ:ホレ、こういう風に笑ってみぃ。お前さんの『心の棘』を取り除くなら先ずはこうして笑ってみぃ♪判らんなら何度でも来れば良い。儂がお前さんの納得いくまで教えてやるぞ♪


 現在・・・


 アリス:あれから毎日通って色々教わったなぁ。そうしていくうちにだんだん楽しくなっていつの間にか自然と笑ってた♪その時魔王になろうって決めたんだよな〜♪


 ケビン:僕もあの光景を見てますます爺ちゃんの様な政治家になりたいって思った。


 アメリア:普通暗殺もやるようなタイプのしかも最強クラスの傭兵相手に物怖じせず真っ向から向き合う政治家はそうは居ない。恐らく相当な数の修羅場をくぐってきた筈だ。


 ヴィオラ:ええ、魔界宇宙政界史上 狸原代表とオゾノン前代表くらいでしょう。そんな器の大きい超大物政治家は。


 アリス:うん!


 ヴィオラ:陛下、大変言いにくいのですが、そろそろお時間です。


 アリス:え!もうそんな時間⁉︎


 ケビン:何か予定でも?


 アリス:うん、ドラクロス外相からお呼びかかっててこの後会う約束してるんだよ。


 ケビン:魔界宇宙中央政府No.2の『4宰相』直々のお呼び出しか。じゃ、この続きは『またの機会』だな。


 アリス:それじゃ今度の週末にやる『聖夜祭』に来なよ♪


 ケビン:じゃ、お言葉に甘えて行かせてもらうよ♪


 アリス:待ってるよ♪












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