5―17

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 レイコのパーティメンバーの母乳を吸い始めて、どれくらいの時間が経過したのだろうか……僕の時間感覚が正常なら、5時間くらい経ったと思う。

 彼女たちは、交代しながら繰り返し求めて来た。レイコやイリーナなら分かるが、カオリやアズサまでもが積極的に乳房を差し出してきたのだ。

 もしかすると、オークに凌辱された記憶を上書きしようとしているのかもしれない。

 ちなみに母乳の味は、6人ともそれほど変わらなかった。強いて言えばレイコのものが少しだけ美味しく感じた。しかし、僕の使い魔たちと比べると普通の美味しさだ。やはり、母乳はレベルが高い女性のほうが美味しいようだ。


「はぁああ……ぬしさまぁ……」


 また、レイコが僕に抱きついてきた。

 そのとき、入り口の引き戸がノックされて、引き戸がスーッと開けられる。


「お邪魔して申し訳ございません。ご主人様、少しよろしいでしょうか?」


 全身鎧のフェリアが入ってきて、湯船のふちに腰掛けていた僕の側で足をついて頭を垂れた。


「うん、いいよ。あと、このメンバーの前では鎧姿じゃなくてもいいから……」

「畏まりました」


 フェリアは、しゃがんだ姿勢のまま全裸になった。


「何かあった?」

「村人たちが目を覚ましたようです」

「話はできる状態なの?」

「はい、そのようです」

「じゃあ、話を聞きに行くよ」


 僕は立ち上がった。

 いつもなら、【エアプロテクション】で水滴や体液を吹き飛ばすところだけど、『ハーレム』の自動清掃機能を確認しておくことにした。

『ハーレム』の扉を帰還させると、僕の身体に付いた水滴や体液などが消失した。それどころか、床やレイコたちに付いていた水滴や体液も綺麗に無くなっている。召喚時や帰還時のような白く光るエフェクトもなかった。いきなり消えたように見える。湯船のお湯は、消えていないが、身体や床に付いた水滴と湯船のお湯はどうやって区別しているのだろうか。

 試しにお湯を手ですくって、床に撒いてみたが、消え去りはしない。つまり、僕が扉を消した瞬間に発動するということだ。


『装備2換装』


 僕は引き戸の前で魔術師装備に換装した。

 そして、引き戸を開け『ハーレム』の大浴場から廊下へ出る。


「ご主人様……」


 フェリアが話しかけてきた。


「どうしたの?」


 僕は振り返って、フェリアに尋ねる。


「彼女たちはどういたしますか?」


 どうやら、レイコのパーティメンバーをどうするのか聞いているようだ。

 見ると、レイコとイリーナを先頭にフェリアの後に続いてついて来ている。


「どうって?」

「使い魔にされるのですよね?」


 使い魔にする必要があるのだろうか?


「レイコは、僕の使い魔になりたいの?」

「勿論だ。私は貴方様の奴隷。この身の全てを捧げよう」


『サモン5』


 本気か見るつもりでテイムしてみると、レイコの身体が白い光に包まれて消え去った。


「「――――!?」」


 パーティメンバーが目を丸くしている。


『レイコ召喚』


 同じ場所に光に包まれてレイコが出現した。


 こうして、冒険者のレイコは、僕の使い魔となった――。


「おお、これが使い魔の感覚なのか……」

「どう? 今までと何か違う?」

「ああぁ……凄く満たされた気分だ。主様ぬしさまを見ていると、今まで以上にゾクゾクしてくる」

「どういうこと?」

「言葉では表現しづらいのだが、主様のお役に立ちたい、主様に滅茶苦茶にいたぶられたい……そんな気分になる……」

「…………」


 僕はレイコの発言にドン引きしたが、今やらないといけないことを思い出す。


「じゃあ、村人たちのところへ行こう」


 再び移動しようとすると、今度はイリーナが使い魔になりたいと言い出す。


「待って欲しいでござる。拙者せっしゃ主殿あるじどのの使い魔にして欲しいでござる」

「今日は無理だから、また今度ね」

「約束でござるよ?」

「ああ、約束だ。ただし、直接的にはレイコの使い魔になってもらうね」

「どういうことでござる?」

「レイコに召喚魔法を覚えてもらって、レイコの使い魔となるわけ」

「そんなことが可能なのでござるか?」

「僕には使い魔が500人以上居るけど、直接的には5人の使い魔しか持っていない」

「500人でござるか!?」


 イリーナが驚いている。他のパーティメンバーも目を丸くする。


「どう? それでもなりたい? あまり相手にしてもらえなくなるかもしれないよ? 自分だけを見てくれる相手を探したほうがいいんじゃないの?」

「拙者の身体は、もう主殿でしか満足できないでござるよ」

「僕よりも強い男が何処かに居るかもしれないよ? 正直に言ってみて、イリーナは僕のような貧弱な子供は好きじゃないんでしょ?」

「そんなことはないでござる。確かに拙者は、筋骨隆々な男が好みだったでござるが、今は主殿に参ってしまって、主殿以外の男は受け付けなくなったでござる」

「また、調子の良いことを言ってるなぁ……」

「信じて欲しいでござる。それにひ弱に見えて主殿は、拙者よりもずっと力が強いでござろう。昨夜、主殿に抱きついて、胸を掴んで引きはがされたときにそれを感じたでござる」

「それは、単に僕のレベルが高いってだけだから」

「それが凄いのでござる」

「じゃあ、近日中に使い魔にするから待ってて」

「畏まったでござる」


 僕は、イリーナとの会話を終わらせてから、廊下を移動し、扉を再召喚してから『ハーレム』を出た。

『ロッジ』に戻った僕は、そのまま歩いて『ロッジ』の中央まで移動した。

 後ろを振り返ると、フェリアを先頭にレイコのパーティメンバーがゾロゾロと続いている。


「フェリア、君はここで待っていてくれ。村人に見られたくないから、甲冑装備で」

「畏まりました」


 フェリアの裸体が白く光って、盾を持つ全身鎧の姿になった。

 そして僕は、右手にあるフェリアの『倉庫』へ向かい、扉を開けて中に入った――。


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