タコの佃煮

たこやき

けいたっきーと全裸

けいたっきーは1つ年下の男の子だ。親同士が仲良く幼い頃は良く遊んだものである。その頃から僕は年下イコール手下という下克上思想を抱いており、親分としてけいたっきーと飯塚市内を探検していた。

ある日けいたっきーの家で遊んでいた時のことである。柔らかいクッションに触れた時、「服、脱ぎたいな」と思った。全身でこのふわふわのクッションを堪能したかったのである。しかしいくら5歳児といえどモラルはわきまえており、他人の家で全裸になることは憚られた。その時の僕がどのような回路で答えに行き着いたかは分からないが、「けいたっきー、脱いでくれ」と命令した。普通の5歳児なら服を脱ぐなど従うはずもないのだが、けいたっきーは僕の命令通りに脱いだのだ。彼はアホな4歳児だったのである。全裸でクッションに戯れ始める彼を見て唖然とした。(こんなアホな人間がいるのか)と強く思った。そして彼はさらに衝撃的な言葉を発したのだ。


「たこやきくんも脱ぎなよ」


え、どうすんのこれ、

人に脱げと命令し脱がせておきながら、自分も脱がないことが許されるのだろうか、いやない。僕は脱がなければいけなかったのだ。全裸の男児2人でクッションを投げ合い遊んだ。僕はアホな5歳児だった。



親に全裸でクッション投げ合って楽しかったと報告したアホな4歳児のおかげで、アホな5歳児はこっぴどく叱られたのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る