10.30「alice in rainyland」#3
石鹸と交換しようと持ってきたパンを一つ取
り出した。風一つない水面に静かな雨が降り
注ぐ。泡立っていた場所は遠く背中に消えた
。水は澄み魚たちが泳ぎ回る底が透けていた
。手に掬うそれに匂いはなく味を知らせない
まま喉元を滑り下りる。やっぱり私が焼いた
パンよりも母が焼いたパンの方が美味しい。
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