10.2「pluie de nuit」




たまに遊びにくる猫がいる。その子は片目が

見えなくて、ふわふわの毛の中に首輪をして

いる。私は冷たいのでその子のためにおやつ

を買っておいたりはしないし、その子が部屋

に上がるとすぐに抱き上げて出してしまう。

雨の中に猫の鳴き声がした。夜の音に耳を凝

らすけれど、もう鳴き声は聞こえなかった。





―――――――――――――――――――🐈





もしも、この部屋で猫と暮らしたら。小さな

魚を狙うだろうし、多くの植物が被害に遭う

だろう。もう猫と暮らすことはないと思う一

方で、いつかこの部屋とお別れをして猫と暮

らす予感もします。私は何度も変わってきた

し、また変わっていくと思うから。雨に濡れ

た首輪を持たない猫と出会ってしまったら。




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