第30話「処刑台から」


本日、被告人のように

裁判で裁かれるみたいに

多数の人数の中で、処刑が行われた



僕のやってきたことは裁かれ

良くなってきていた部分は見られることもなく

少しずつ良くなってきていることも見られることなく

ただの失敗との判決が下った

僕がしてきたことは無駄に終わった

他人は他人だということが、改めて判り

また、心ごと裁かれ

立ち直るきっかけなど残らない場所に

もう、限界なのではないかと思った


刑に服するように

僕の存在、意見は消え

ただ服する

あとは言われた通りに生きるだけ


僕の心は、他人の管理下に置かれ

心が処刑された


Lou Reedの“Vanishing Act”が頭の中、流れた

「消えてしまえたら」

ただ、それだけ

それだけの


人は、心の自由を奪われたとき

ただの言われた通りに動く機械に替わるとき

心を捨てなさいと言われたとき

ただの器の

ただの33歳の身体の

感覚的なことを失い

消えてしまうまで待つだけの

肉体が滅んでくれるのを待つだけの

動かなくなるまでを待つだけのーー




“never”



と、vanishing actの最後にlou reedは呟いた



明日を夢見た黒人の生き方を浮かべた

迫害された人たちの明日を、明日を思う気持ち

すべてを見てきたカラスが嘯くこともなく

どうやって、明日を、未来を、希望を考えられたのか

今日をただ

今日を全うしようと

己の運命を受け入れていたのか

「いつか」

と、どこかにしまっていたのだろうか



島流しにしてくれた方がよっぽど楽なのに

流刑された方が、今の居場所を捨てられて




ただ、出来事は終わった





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