夢見るマサイじゃいられない

萱草真詩雫

マサイの戦士は突然に


「私、マサイの戦士になる!」


バイトの休憩中、私は喫煙所でタバコを吸いながら、先輩の川添に向かってそう宣言した。


「何いってんのお前」


「だって憧れるじゃないですか、マサイ!」


「憧れる要素が見当たらねぇ」


「あのマサイですよ!?裸族ですよ!?」


「だからなんだ」


「一緒に槍持ってウンバボしたいじゃないっすか!」


力説する私。


「勝手にウンバボしとけ」


即答された。


でも負けない。


私はマサイの戦士に逢いに行く!


「ってな訳で川添さん、私マサイの村行くんで旅費ください」


「自腹で行け、自腹で」


ケチだなぁ、何もジュース買ってこいって言ってないのに。


マサイ代くれって言ってるだけなのに。


「じゃあ割り勘しましょう」


「マヒロ、割り勘の意味知ってるか?」


「なんとなく?」


実際はよく分かっていないのだが。


川添さんがどうしてもくれないので自費で行くことにした。



待ってろよ、マサイの戦士!


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