自由散文詩掌編『嘲謔』

好き

太陽を浴び、体に帯びて

足を動かし、天に手を

楽しく買い物、食べるものは

ナニにしよう？

道行く人を優しく見守り、

いい人気分

ほほこけ母親は今にも死にそう

道行く人を愛しく見守り、

いい人気分

俯き歩く子供は今にも死にそう

道行く人を憐れみ見守り、

いい人気分

笑顔の貴婦人井戸端会議

粗を探して満足気

『その服、素敵ね』

見知らぬ老婆が話しかけてきた

ああ、気持ち悪い

『ありがとうございます』

ああ、可哀そう

だって貴女、するりと言葉が出たけれども

ただただ誰かと喋りたかったのでしょう？

寂しさ紛らわす自己中おいぼれ

店員に悪態づいてるおじいちゃん

矜持を保つにゃ見下す相手が必要だもの

個を守るために歪んで気持ちよさそうね

休日、親子の、声響く

弱虫探し我が儘子供の自尊を潰すが仕事だね

あゝ、可哀想、可哀想

あゝ、妄想しては可哀想

あゝ、本当は、そうでないこと知っている

慰め、心に言い訳させて、自己嫌悪

その場の笑みが嘘つき道化