面汚し

新春誓う「死がふたりを分かつまで」


体感温度は冬のよう「笑みの数だけ幸せといい」


春の新芽に「殺すか死ぬか、冷水浴びて挫折せよ」

土壌が言うのです「新芽の花が見たいのです」と


空気は霞、食うことできず、冷ややか視線が「いまからやめたい」

貫く針で肌を刺す「わるいひとになりたくない」と

季節は殺すのを許さない 許さないから悪い人になってしまうと

「私」が悪くなるのは許さない


夏の若葉が早めに散って、土色染まって踏みつけられて

「はやく土に返せ」「かえしたい」「花のためです」と争う声

土壌は空にしか願わない 「私」に対して願わない


伸びる茎に、小さな若葉、薄緑色のまろやかさ

喜び勇むは、ケタケタ笑う妖精と

しかめっ面の藁人形は欲しい過去だけ見始めた


秋は、みな、あきらめた

喜ぶのは土壌だけ


冬に目覚め

春を陽射しに

夏に咲くか

秋を待つか


「私」は全て狂ってた

喜ぶふりして季節を騙し

笑みの呪いと怒りのギフト


「私」は季節に嫌われない程度に愛するわ

叱咤されぬ程度にかまってあげる

嘘に現実もたせ、愛に幻想を、心疑わせず「花よ咲け」

ああ、きれいじゃないし、かわいくない

でも大事にしておけば得になる

得にならなければ捨てるだけ

――ええ、やっぱり可愛くないから捨てましょう


土壌は知らない、踏みつけけがされた花のことなど

いまでも時折り、空に祈り、花は幸せだと喜んで

隣で潰れているともしらないで


今日も「私」は嘆き呪う「幸せ幸せ」

今日も「私」は喜び叫ぶ「不幸だ不幸だ」

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