第121話 魔王と勇者は、日本で初の販売をしたかも?(23)

 まあ、取り敢えず、『ペコ』と、いった様子で、自身の頭を軽く下げ会釈──。穏やかに微笑みながら儂は手を振り続けた。


 それで五味の市へと来店されたお客様達が喜んでくれるなら。それで儂自身も満足だと思いながら手を振り続けていると。


「ダメダメ~! 家の嫁さんをインスタしてSNSに乗せたら」


 我が家の殿が急に、お店の周りや遠目から儂の手を振る姿を見ている老若男女のお客様──。


 何かしら、長くて平たい物を持ちあげながらこちらを向いているお客様達へと困った声色で諫めの言葉を告げ始めたのだよ。


 だから儂は殿何で? と、思いながら。視線を変え、我が家の殿さまを凝視していたら。


「ええやぁないか~、上島~? インスタぐらいは?」と。


 隣のちくわの御主人が、我が家の殿にインスタぐらいは、いいのでは? と、訊ねたのだよ。


「はぁ~、何を言っているの、オジサン~。だめに決まっているじゃ、ろうに。だめに……。誰が自分の女房がインスタされてSNSに投稿されて喜ぶ夫がいるの?」と。


 隣のちくわの御主人に不満を告げたのだが。儂には先程から我が家の殿や隣のちくわの御主人が告げているインスタやSNSとは何の事だか全然解らぬ。


 だから儂は殿に「インスタやSNSとは何か?」と訊ねた。



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