ひっそりと ②

「ふぅ~」



終わった…………。



腕時計を横目で見る。


───やっぱり時間かかっちゃった。



見たいテレビ、見れないや。




「お、終わったか。お疲れさん」


「…………部長、まだいたんですか?」


「もう暗いから」



ふふっ、優しい人。



「相原は、いつも残業してるよな」


「わたし、作業が遅いので」



困って苦笑いをする。



「なに言ってんだ。その分人一倍丁寧だろ? ────俺は分かってるよ。お前が努力してるってこと」



ああ、どうしてそんなに嬉しくさせるの。



緩みそうな頬を抑えられない。

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