プレゼント


昼休み。


「あー!恋がしたい恋がしたい恋がしたい」


「うるせぇ馬鹿!」


何度も同じセリフを繰り返すリョウタロウにソウヤが怒鳴る。


だって恋をしてないと死んでしまうもの、俺。


「ソウヤァ…どっかに良い恋落ちてねぇ?」


情けない声でソウヤに助けを求めると、ソウヤがハァ、とため息をついて。


「そう言うと思ってたからほれ、コレやるよ」


何やらポケットの中をゴソゴソと探りある物を取り出しリョウタロウに渡した。


「カーネルちゃん!」


「コイツを恋人にすりゃ良いだろ、ちっちぇーけど」


なんと小さいカーネルサンダースの人形だった。


「マジサンキューソウヤ!おかえりマイハニー!」


リョウタロウはソウヤに心からお礼を言い帰って来た?恋人にチュッチュする。


それを見たソウヤが自分の身の安心とリョウタロウの行動に複雑そうな表情でまたため息をついた。


「俺の前で人形に求愛行動をすんな!ハァ…これでやっと悩みの種が減った…」


そう呟いたソウヤの矢先にリョウタロウの素朴な疑問が投げられた。


「なぁ、所でこのハニーはどこで手に入れたんだ?ソウヤ」


その瞬間ソウヤがギクッと固まった。


「それはその…」


とてつもなく言いづらそうだ。


ますますリョウタロウは入手経路が気になる。


「なんだよー!勿体ぶってないで言えよ!」


ユサユサとソウヤの身体を揺さぶるリョウタロウに聞こえるか聞こえないかの音量で一言。


「……ったんだよ」


「へ?」


「だから!店の人に頼んで貰ったんだよ!文句あるかこの阿呆が!」


たまらず大声で吐き捨てるソウヤ。


それを聞いたリョウタロウはソウヤの意外な行動に呆気に取られるも、すぐにパァっと嬉しそうな顔をし思いっきりソウヤに抱き着いた。


「ソウヤ!やっぱりお前は最高の心友だ!カーネルちゃんからソウヤに乗り換え…」


「抱きつくなこのド変態の節操なし!てめぇはカーネルと一生引っ付いてろ馬鹿野郎!」


やっぱりリョウタロウに滅多な事をするんじゃなかったと後悔したソウヤであった。


ソウヤ君も可哀想に。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る