リリー・リンスターの略歴

・0歳

 王国最南端、南方戦役でいた旧エトナ、ザナ侯国を治めるリンスター副公爵家長女として生誕。魔力はこの時点で膨大。

※旧エトナ、ザナ侯国併合時は、リンスター本家が統治していました。ただ、王国南方を守護し、侯国連合、連邦、十三自由都市と亘り合わなけれならないリンスターは極めて多忙。その為、一時期は王家による直接統治(五つ目の、公爵家を興す)を願い出ましたが、ウェインライト家に人材乏しく、特別家として『副公爵家』が置かれることになりました。

※同時期、北方のハワード家にも同じく『副公爵家』が置かれたのは四大公爵家の勢力均衡の為です(公爵家幕下は原則、二侯四伯。ただし、魔王領と接するルブフェーラ家は、各長命種の少数部族達と二侯の下に『辺境伯』を持つ為、他家よりも強大)


・3歳

 陛下との謁見。

 既に兄のリドリー(10)は『神童』として名高く、妹のリリーさんもそれに勝るとも劣らぬ才、という評を受けていました。

※リンスター家は当主を『の内、その時代で最も才持つ者』としている、おっかない家なので、リドリーさんを次期当主に押す声は強かった経緯あり。ただし、この頃から『剣馬鹿』であることが露呈し始めていたので、本編時は完全に霧散していたり。

※この時期、副公爵家は『かつての敵国を統治し、王国に可能な限り悪影響を与えずに併合する』、の最終段階にあり、その報告も兼ねての王都訪問だった。

※ウェインライト王家が、リリーさんと王族の婚姻も視野に入れていた時期。

※炎剣『灰桜』から主に認められたのはこの年。


・6歳

 初めて従妹のリディヤに遭遇。

 引き籠りがちな妹分(勝手に認定)を連れ出しては、怒られていました。基本的なスタンスはこれ以降、一切変化していません。

※リリーさんは覚えていませんが、リディヤに南都の旧礼拝堂を教えたのはあのメイドさんです。リリーさんにその場所を教えたのは、猫族の女性旅人。

※文句を言いつつも、自室への侵入を許して屋敷の一部を斬ったり、焼いたりで済ませているのは、相応な信頼があるからでもあります。


・7~14歳

 すくすくと成長します。

 才能的には王立学校の進学は勿論、首席合格確実! と言われていましたが、副公爵領の新規学校を卒業しています。周囲は随分と残念がりましたが、本人は頑なにそれを拒絶。副公都と南都を行ったり来たりして過ごしていました。

※進学しなかったのは『メイドさんになりたい!』という夢が芽生えていたのと、リディヤが心配だったたからです。

※また、副公爵がとにかく過保護であり、リリーさんの王立学校進学を、色々と理由をつけてなくそうとしていた模様。

※なお、リドリーさんは齢十五で近衛騎士になった後、当時『王国最弱』だった近衛騎士団を、オーウェン、リチャード、レナウン、と立て直すことに夢中で家には殆ど帰っていません。古称号『剣聖』を受け継いだのは、リリーさんが13歳の時。


・15歳

 南都の駅で迷子になっていたら、同じく迷子になっていたアレンと遭遇。逢引を楽しみ、最後には背中を押され、晴れて『メイド見習い』に。

 当然、リンスターの長い歴史の中でも前代未聞な出来事で、公爵は狼狽し、副公爵は卒倒。さしものリドリーさんも『むぅ……』と呻き、珍しく妹を一度説得したとかしないとか。

 ただ、母親であるフィアーヌさんは『娘がそう決めたのなら』と後押しし、リサさんも『アレンからも頼まれているし、却下は出来ないわね』という反応でした。

 ……え? リディヤはどうだったのか?? 

 黙って勝手に逢引したアレンを折檻し、リリーさんと会わせないようずっと警戒していました。なお、メイドになること自体は特段反対もせず。

※リリーさんの人生で一番迷走していた時期です。

※十分な才能はある。けど、このまま歩いて行けば何処かの大貴族の跡取りと結婚するか、はたまた婿をもらうか、だけ。でも、私がメイドになるなんて言いだしたら、家の中は大混乱に……。

※本編読者様は信じられないかもしれませんが……リリーさんは作中屈指の良識派です。


・16~19歳

 せっせとメイドさんの仕事を覚え、こなし、あっという間に席次持ちになり、第三席となりました。

 リンスター公爵家メイド隊の権限は、他家に比べて絶大で、特に戦時においては強大な権限を付与されます。その為、完全なる実力主義が徹底されていて、血筋程度では歯が立ちません(※ハワードも実力主義ですが、基本的に席次上位は『ウォーカー』で固められています。これは、家の特殊事情)。

 リリーさんは、実力と『フェリシア御嬢様、命!』なエマさんが第三席就任を固辞した結果、僅か三年と数ヶ月でここまで上り詰めました。

※南都で別れて以来、アレンと直接会う機会は多くありませんでしたが、大事件の度、再会しています。

※千年を超える魔獣『針海』討伐に協力したのはこの頃で、同時にアレンの魔法式へ完全換装しています。そのことを『針海』との決戦場で知ったリディヤは愕然とし、怒りを魔獣に全力で叩きつけ、見事討伐に成功しました。この光景を一部見ていたのが、大学校の後輩であるユーリです。

※当面の目標はメイド長になること。その後は……。


・作者との関係性

 プロットを毎巻捻じ曲げる困った人。あと、出番を欲しがる。

 たとえ、アレンがどのヒロインと結ばれても、しれっとメイド長に収まってそう。

 おそらく、リディヤやリィネよりずっと『リンスター』。

 それはそうと、実家を絡めてのアレンの副公爵家婿入り、本気なのも事実だったり……。

 ただ、ステラよりかは冷戦していません。『仕方ないかな』と思わされる。術中?

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