20210306_隠れる

「もーいーかーい」

「まーだだよ」

「かあさんどこかな?」

「まだだと言っているでしょうが」

 娘とのかくれんぼはいつもそうだ。幼い娘はかくれんぼのルールを把握していない。しかし絵本でかくれんぼの一連の流れだけ覚えてしまい、公園に行くたびにこのような、かくれんぼもどきを繰り返している。

 そしてまだだと言っても、もういいよと言っても彼女は私を探し始め、気が向くまま探すふりをする。適当なところで私が

「かあさんここでしたー!」

 と言うまで終わらない。飽きると

「かあさん、ここでしたっていって」

 と、催促をしてくる。要するに娘がやりたいのはコミュニケーションなのだ。人間同士のふれあいを求めて、娘は今日も私を探している。

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