第2話

無事に次の段階に進めば、今度は米1合と水槽に入った魚を3匹置きます。それだけで説明はありません。察しの悪い子はのんきに鑑賞したりしていますが、ここは佐々木君が一番早かった。何をすべきかが分かったんです。キッチンからバーベキューの串を出してきて1匹ずつ串刺しにしました。ただ、魚をさばいた経験はないんでしょうな。思いつきもしないという感じで、串刺しの魚をガスコンロの火で直接炙ってみたり、上手くいかないとなるとグリルに入れて真っ黒に焦がしたりして最初の3匹はだめにしました。翌日は要領をつかんだようで、最終的にはなんとかグリルで焼いて食べてました。

 篠崎君は優しい子みたいでしたね。最初は米粒なんかやってじっと見てた。でも次の日になっても何の変化もないから分かったのでしょう。ざるを出してきて1匹をすくい上げました。そのまま台所へ行って流し台のふちに魚の頭を軽く叩くと、頭を包丁で落として排水溝に入れて・・・、おや? 生ごみ処理機を知りませんか?では画面をよく見ていてください。篠崎君がスイッチを入れると、がりがりぼりぼりっと音がするでしょう。排水溝の中が処理機を兼ねていて魚の頭を粉砕しているんです。骨があるから時々ぼりって聞こえますね。で、彼が横のホースを出してあの魚の中に突っ込んでいるでしょう? 中の内臓を吸い取ってくれるんですよ。ずず、ずるずるっぼぼって内臓が吸い取られている音がするでしょう? ああ、そうです。結構音はしますよ。まったく便利ですよね。

 で、そうやって1匹は処理したんですが、手際は見事だったのに食べようとしないんですよ。

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