第32話 『ミナミとシンシアの場合』

 ※本作はpixivさんで実施される、第二回百合文芸コンテストへ投稿予定の作品です。


 

 久しぶりにあとがきを書くことが可能となりました、あとがき好きのピクルズジンジャーです。こんばんは。


 本作は私にしては珍しい、スーパーナチュラル要素が全くなければ、異世界を舞台にしているわけでもない、そして妙な奇病も蔓延していないという、ごくごくありふれた現代社会の片隅でくらす女子高生二人の物語です。というかまあ、正面切っての青春モノ系百合です。

 

 実は、青春系の王道百合にはずっと挑戦したかったのです。魔法や超能力、その他非現実的な要素が出てくる物語が書くのも読むのも大好きなのですが、女子と女子の関係性以外に何もない小説も自分が読む分には好きなのです。

 そして、前回参加したコンテストでは、他の参加者さんの書かれた飛び道具の無い王道の百合に私自身うちのめされたところがありまして、「次回参加するには自分も一本は王道の百合を書きたい! 挑戦したい」という目標をいつの間に掲げていたのでした。


 友情も殺意もシスターフッドも妬みそねみも、同性から同性へ向ける感情が重たければなんでも百合にカウントする激重感情派閥に属する百合好きである当方にとって、恋愛や性愛に限定した感情を描く百合はかなり難易度の高いテーマでもあるので、短い話にも拘らず執筆にかかる前の下準備に時間がかかる作品となりました。


 ああでもないこうでもない……と、連載作を書きながらの構想中にこの話も練り直していたときに、夢でみたインスピレーションを元に「海へ行く話」として練り上げたのが本作でございます。

 

 願うことは読んだ方に、少しでもキュンキュンなり、もだもだなりしていただくことです。それが達成できていたならなんにもいらない。



 以下は裏話など……。



【ミナミとシンシアと『十七才』】

 昭和のアイドルに詳しい方にはピンと来ていただけるはずのネーミング及び小ネタでございます。


 はい、『十七才』のオリジナルを歌っていた往年のアイドル・南沙織(愛称がシンシア)に因んだネーミングですね……。しかし二人が電車で聞いてる『十七才』は森高千里版という設定です。


 こういう小ネタがある方が話が考えやすいので、ついつい入れてしまいがちです。



【ミナミの読んだ漫画】

 十七才の誕生日が体育祭で、応援席でだらだら読んでいた漫画の中によりにもよって「十七才の誕生日に処女喪失を決めた女子」が出てくるものを読んでしまい、何とも言えない気持ちになった……というところまでは、何を隠そう私の実体験でございます。なんの漫画かと申しますと、一条ゆかりの『正しい恋愛のススメ』でした。


 実体験なのはそこまでで、あとは全くのフィクションです。私はそのままのんべんだらりとした大人になりました(つまりこの小説そのものがシンシアが語った通り、大人からリアル世代へのお節介ともいえるわけですね……)。


 このことはせっかくだからネタにしたいと思って数十年、やっと形になりましたとさ。


 ちなみに電車に乗って海に行くのも、私が高校時代にやりたかったけれどやらなかったことでした。

 

 やっぱそういう悔いをのこして大人になっちゃいけませんよ、残すくらいならやった方がいいよ、若人よ……と年寄から申し上げておきます。



【「あの坂を登れば海が見える」】

 昔国語の教科書にのっていた印象的な短編から(世代がバレるというのに)。

 私は未だに、家に帰りたいのに帰れないときなどはこの一節を頭の中で延々唱えてしまいます。


 今でも国語の教科書に載っているかどうかわからないので、二人が受けた模試の問題文ということにしました。



【舞台が盆地なことが多いのは?】

 私が盆地育ちなので、現代ドラマでストーリーを考えるとどうしても盆地だの田舎だの郊外だの、自分が知悉した環境でストーリーを作り勝ちなためです。都会で華々しい生活をしている十代の気持ちを想像できるまでにはもうちょっと修行を積まねばなりませんや……。



 とりあえずこの辺で。

 作品をコンテストに投稿中は未公開になりますが、どうぞご容赦ください。



 2020.3.5.追記

 こちらの方の第一次通過はなりませんでしたので、再公開いたします。

 結果は残念でしたが、好意的な評価を多数頂けて幸せな作品でもありました。応援、ありがとうございました。

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