第5話:メインプレイ:エンディング3

GM:さて、次にシーンを作りたい人、挙手なさい!(女王様)

ローザ:はいっ!

GM:どんなシーンがお望みかな?

ローザ:桜華さんと二人っきりがいいなー。ファミレスとかの、声聞かれない場所だとベスト。

 口調変えた理由をちゃんと話してなかったから、それ話したいー。

昭人:なるほどね。こっちはファミレスでも構わんよ。なんなら学生寮の部屋にでも。

ローザ:はっ。じゃあ部屋行くー! 初めてのお上がりなのです!

昭人:では、こちらは勉強机で宿題と格闘していよう。

ローザ:というところで、携帯が鳴り出すよー。

昭人:「ん? 誰だろう」 携帯をチェックだ。

ローザ:『おつかれさまです桜華さん! 数量限定のシュークリーム、2個だけ手に入ったから一緒に食べないですか!?』

 という文面と、美味しそうなシュークリームの写メが送られてくるよ!


GM:お菓子で釣るのか……(笑)


昭人:「……ふふっ」 それに笑みをこぼし。

『ありがとう。せっかくだしいただこうかな。どこで食べる? UGNビルとか?』 と返信。

ローザ:『UGNビルだと数が足りなくて気まずくなるよ!(笑) よければ、桜華さんの部屋とかどうかな?』

昭人:「……俺の部屋か……うん、これなら問題ないな」

『いいよ、俺の部屋にしようか。場所わかる?』

ローザ:『わかるよ、支部長みたいなものだし。1時間後くらいでいいかな?』

昭人:『うん、大丈夫。待ってるね』


~1時間後~


ローザ:扉をノックして、ローザが訪ねて来るよ。

昭人:「ん、待ってたよ。さ、上がって」

ローザ:「お邪魔しますーって、ずいぶん綺麗にしてるね!」

昭人:「そうかな? 普段からこんな感じだけど……」

ローザ:「ふーん。いい旦那さんになる“っス”ね」

昭人:「……口調それなんだ?」

ローザ:(かあ、と赤くなって)「……ちゃんと説明、してなかったね。ちょうどいいから、教えておこうかな」


GM:最近、ローザが大変にあざといと思い始めたGMであった。

昭人:わかる。妙に女の子っぽくなったよね。前はエージェント! って感じだったけど。

GM:うん、まさにそれ。


昭人:「……長くなりそうだし、何か飲み物出そうか。水でいいかな。好きでしょ?」

ローザ:「よくわかってるね。氷水とかあれば最高かな」

昭人:というわけで、お茶会の準備をシュバババ。

昭人:「それで、話って?」

ローザ:(ごそっと特大シュークリームを渡してから)

「……元々、あれは紅さんの口調を真似しようと思って始めたものなんだよ」

昭人:「ああ、紅さんの真似だったんだ……あれ?」

ローザ:「そう……だったはずだった」

昭人:「紅さん、別に“っス”って付けてない……ね」

ローザ:「……う人だった」

昭人:「ん? ごめん、よく聞こえなかった」

ローザ:「紅さんの知り合いの……まったく違う人の口調だったみたい」 (かぁぁ……)

昭人:「あぁ……そうなんだ。それは……恥ずかしかったね。それでか、口調が急に変化したのは」

ローザ:(氷水をちびっと飲んで、こくりと頷く)

「まさか、“あの場”にもう一人いたなんて思わなかったよ……まったく覚えてなかった。

 そんなわけで、口調を元に戻したんだよ。紅さんにも「私になりたい」から卒業しなきゃって言われちゃったし」

(シュークリーム、はむっ)

昭人:「……そう。俺はそっちの方の口調が好きだし、いいと思うよ」

ローザ:「……そう、言ってくれたから」

昭人:「ん?」

ローザ:「こっちの口調がいいって、桜華さんが言ってくれてたから。違う人のだってわかった時に、すぐ戻せたんだと思う。

 だからその……ありがとう」 (シュークリームで顔を隠しながら)

昭人:「ううん、どういたしまして。少しはお役に立てたみたいだし、よかったよ」


GM:待ってローザが可愛い。

ローザ:ローザちゃんは最初から可愛いよ?(笑)

GM:ダウトぉ! 最初はネタキャラだったやん!?(笑)


昭人:「ローザさん、最近、雰囲気変わったね」

ローザ:「……そう?」

昭人:「うん。少し前まではいかにもエージェントって感じだったけど、最近はごく普通の女の子みたいな時ある。

 今とかね。前は凛々しいって感じだったけど、今は可愛いと思うよ」


 さらりと爆弾発言を垂れ流す昭人。というか、さっきから繰り広げられるこの甘々空間に、GMは砂糖をダバダバと吐き出し続けていた。甘い、甘いよお二人さん……。


ローザ:「わ! 私だって普通の女の子だし!? 前はその、何と言うか気を張ってたし……。

 あ、いや、今張ってないわけではないけど、その、なんていうか……」

昭人:「……なんというか?」

ローザ:「桜華さんが自然体だから……そう! 自然体過ぎるから!」 びしぃ!

昭人:「自然体過ぎる……俺が問題だった?」

ローザ:「あ、いや、問題ではないかな……むしろ良いことだし。

 つまり! 桜華さんといると気を張らなくていいってこと! ……かな」

昭人:(少し驚いた顔)

「……ありがとう。こんな俺でも役に立ててるってことかな。嬉しいよ」

ローザ:「……そんな驚くことかな?」

昭人:「うん、驚くよ。俺のそばにいて“心地いい”って言ってくれた人なんて、ほとんどいなかったから」


昭人:モブっぽい性格だからね。そういう言葉は嬉しいのだ。

GM:せやろなぁ。


ローザ:「ありがとうはこっちの台詞“っス”よ……」 ぼそり

昭人:「……何か言った?」 にやりと意地悪っぽく。

ローザ:「~っ! なんも!」 (はむっ!)

昭人:「あははっ」 こちらもシュークリームを頬張る。

ローザ:ジト、と上目遣いに見ながらシュークリームを食べる。


GM:イチャイチャ反対ー! リア充爆発すべーし!


昭人:「……こんな日常が、いつまでも続けばいいのになぁ……」

 ローザに聞こえないようぼそりと呟き、窓の外を見やる。

 そこには、いつもと変わらぬ、賑やかな風景がある。しかし、この二人の光景を見ている影が、窓の端に……見えた気がした。


昭人:いやね、ローザシャドウがこの光景を見てたらどう思うんだろうと思って。

GM:そう来たかぁ(笑)

 なるほど、これは昭人に対するローザシャドウの対応を変えねばなるまいて。

昭人:お、これは楽しみだ。

GM:シナリオ調整案件ですね(笑)

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