第1話:メインプレイ:エンディング6


GM:さて、最後のシーン。昭人の記憶に関するシーンだ。シチュエーションの希望はあるかな?

昭人:では、場所は学生寮の個室。一人のシーンで。

GM:OK、場面を描写していってくれ。途中でGMとバトンタッチしよう。

昭人:では、昭人は事件で忙しく整理がまだだった段ボール箱を自室で片付けている。

「はぁ、引っ越しはやっぱり大変だな。量はそれほどじゃないけど……」

 そして、ふと一つの段ボール箱が目に留まる。

「…………」

 その箱を開けると、中から出てきたのはそこそこの大きさのオルゴールだ。

 昭人はおもむろにオルゴールの蓋を開け、音楽を流し始める。

「……こいつとも、結構な付き合いになったな。10年くらいだっけ?

 これ、確か貰い物で、前に……」

GM:ではオルゴールの音色を聞く昭人よ。君の右手の聖痕が、熱を持って疼き出した。

 その疼きはまるで脈打つように、君に何かを伝えてくる。

昭人:「……っ!? なに……?」

GM:そして、君の脳裏に、ある光景が蘇る。

 昭人、君はただ、どこかに立っていた。焼け焦げたような臭いと、鉄臭い臭気が漂っているね。

 視界の端では、横転した大型トラックが、ブレーキ痕を引きずって建物に突っ込んでいる。

 これは、昭人が両親を亡くした、大型トラック暴走事故の記憶だ。

昭人:(……ああ、あの時の……)

???(GM):「ヴォオオオォォォッ!」

GM:薄く、ぼんやりした記憶の中で、周囲に獣の咆哮のような轟音が響き渡る。

昭人:(……? なんだ、今の声)

GM:咆哮の詳細は不明だ。そして君の眼前には、顔がぼやけてわからないが、誰かがいるね。

 その誰かは、君にオルゴールを差し出している。

昭人:「…………」 黙ってそれを受け取る。

GM:そこで君は、はっと我に返る。今見た光景は、親を喪った事故現場の記憶。そして、手元で音色を奏でるオルゴールを手に入れた、その瞬間の記憶だ。

昭人:「…………」

GM:しかし事故のショック故か、未だにその記憶には靄がかかり、はっきりとは思い出せない。

 それでも君は、この記憶が君にとってとても大切なものであると、なぜか確信できた。

昭人:「……このオルゴール、誰から貰ったんだっけか……」

GM:いつの間にか聖痕の疼きも治まり、君の部屋にはただ、オルゴールの静かな音色だけが響いている。

昭人:「何か、何か大切な……」

 そこでオルゴールの蓋を閉め、曲を止める。

「部屋の片付け、再開しないと」

 何かが引っかかるも、それを一度頭の片隅に追いやる。

 昭人が片付ける部屋のガラス窓から見えるのは……大きく綺麗な満月だった……。

 以上です。

GM:了解、いい〆だ。

 では、これで最後のエンディングシーンを終了とするぞ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る