「うん、デート。って、梓?」

 返事がない。

「……デートのプランについて相談したいんだけど。梓?」

 返事がない。

「……救急車を呼んだ方がいいかな」

「――だっ、大丈夫! ごめんなさい!」

 梓が動き出したのを見て安心する。それにしても梓は時々こういった奇妙な反応を見せることがあるが、一体何故なのだろう。

「それで、デートのプランについてなんだけど」

「ま、待って。その、デートって……楓の、デートのことなんだよね?」

「うん、そうだよ」

 梓が深呼吸をし始める。何か緊張するようなことがあったのだろうか。だが全く見当がつかない。

「……えっと、デートの、相手は?」

「前に話したと思うけど、僕が家庭教師をしてる女の子だよ。確か辛い立場に置かれているって説明したはずだけど、そのことが解決したんだ。それ以来すっかり打ち解けてくれてね」

「そ、そうなんだ……あ、あのね、楓は、その子のこと、好き、なの?」

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