きみと出会えたから



昔のことを思い返してみるよ

きみと出会うまでの僕のことを

間違って座礁してばかりだった僕のこと

過ちに振り回された僕の愛してきた人

あるいはその後に僕に向けられた嫌悪

もちろん今だって

正解のコンパスはどこにもない

波間に漂ってどこへとも知れず進んでいく

違うのはきみと出会ったこと


成長したのかって問われると

思わず口を噤んでしまう

大事なことは生き延びたこと

きみと出会うその時まで

転がり痛みながら何とか生き長らえたこと

全く馬鹿らしい限りの日々を生き延びたこと

きみと出会えたから

僕は今までの全ての日々を祝福できる

深い謝罪とともに


そこから続く毎日の中で

成長していけるかどうか確信は持てない

けれどきみがいるならば


過ぎゆく時の全てを肯定できる

未だ来ない瞬間を歓迎できる


思いを馳せてみるよ

きみがいつかいなくなる時のことを

あるいは僕が消えゆく日のことを

泣き喚くよりも

確かなピリオドを刻みたくて

心に響くラヴソングに仕立てたくて

それさえも喜びに変えられるかな

悲しみで終わりたくはないよ


ひとつふたつと時間が経って

僕は僕で

きみはきみで

不器用に歩いていくけど

同じ空の下がいい


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