love ii



1


sundownから始まって、

sunbreakに繋がって、

僕はここにいる。

dustに囲まれて、いまだに歌を歌っている。

君にサヨナラを言えずに。


1年半前に始まった君とのことが、今の僕を形作っているのなら、

1年半前に喪った君とのことが、今の僕を閉じこめているのなら、

9年前のあのひとときが、今の僕を縛り付けているのなら、

世紀末に叫んだあの言葉が、今の僕を支えているのなら、


全てが真実であり、

全てが虚飾であるのなら、


それならば僕は消えゆきたいのに、

みっともなくしがみついている。


1年半前?

7年前?

9年前?


それとも、もっと前から?


もっと前から始まっていた?

もっと前に終わっていた?


1998年に失ったR。

1994年に気づいた死。


あれ、おかしいな、

もっと昔から、僕は僕であったような気もする。

そんな勘違いは美しくもない。


sundownを亡くして、

sunbreakが消え去って、

dustがここにある。

君の声がゴミに反射してきらめく。

それが心地よくて、出て行けないよ。


ミレニアムに去ったM。

1990年に刻まれた痛み。


あれ、おかしいな、

君に包まれている気さえして。

でも、君はだれ?



2


僕は寒さに震えながら君を待っている。

1本の煙草に火をつけて、気を紛らわす。

待つのは嫌いだけど、君が来るのなら悪い気はしない。

君の微笑みが僕を熱で穿つ。


昨日、電話で話したことを覚えていてくれるなら、

僕がどれだけ君を好きかわかるだろう。


1年前から好きだったんだよ。

5年前から好きだったんだよ。

8年前から愛していたんだよ。


今日これから、君に向ける微笑みを、感じ取ってくれるなら、

僕がどれだけ君を求めてきたのかわかるだろう。


9年前には恋をしていたんだよ。

6年前には君が不可欠になっていたし、

3年前から僕の心に住んでいたんだよ。


僕は寒さに震えながら君を待っている。

君がここへ来ないことも疑わずに。

君は僕のもとへ向かって来てくれている?

徒歩で? 駆け抜けて? 電車で?

音速で? 光速で?

それとも、君の鼓動の早さで?

風が吹いて、熱を奪い、煙草の煙を流していく。


君に会いたいんだよ。



3


love.


all you needとは言えないけど、

all i needとも言えないけど、


Someone needs love.


どこかにある愛を、誰かが求めているんだよ。


そしてそれは、

君かもしれないんだよ。



4


sundownから始まって、

sunbreakに繋がって、

僕はここにいる。

dustに囲まれて、いまだに歌を歌っている。

そして僕はどこへ行こう?


君のところまで行きたいんだよ。

どんなに遠くでも、

それが昨日であっても、

それが未来であっても、

それが、それが、それが……


sundownを亡くして、

sunbreakが消え去って、

dustがここにある。

君の声がゴミに反射してきらめく。

けれど僕は、君を捨てて行くんだよ。

君に会うために、君を捨てて行くんだよ。


9年前から旅立つんだよ。

8年前から歩き出すんだよ。

6年前を光へ投げるんだよ。

5年前を闇に掲げるんだよ。

3年前に別れを告げて、

2年前に許しを乞い、

1年前を葬るんだよ。

半年前の涙を拭いて、

7日前の痛みを消して、

4日前に懸けた全てを忘れるんだよ。


昨日はもう過去でしかなくて、

3秒前は壊れるよ。


たった今のdustだけを持って、

君とともに生きた全てを捨てて、

ただ君に会いに行くんだよ。


ただ君に会いたいんだよ。

君に。


君を愛してるんだよ。

好きなんだよ。


君に会いたいんだよ。


だって君が、

君が、

君が、


君が愛なんだよ。



5


どこかにある愛を、誰かが求めているんだよ。


そしてそれは、

君かもしれないんだよ。


ねえ、君かもしれないんだよ。




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