夜をこえて



ねえ

僕は無事にこの夜の日付変更線を越えられるでしょうか?

ねえ

きみと一緒だったら、越えられるでしょうか?


違うのに

そばにいてほしい相手は

きみじゃなかったはずなのに


僕らは街灯の下

止まらない時をただ眺めて

何をするでもなく

目指すわけでもない日付変更線を越えていく

喉がかわく

なぜか渇く


あ、間違えた

ひとくち含んでそう思った

自販機で買おうとしたレモンティーは

紙コップに注がれていたそれは

いつのまにかロイヤルミルクティーに化けていた

押すボタンをひとつ右に間違えたみたいだった


こんなふうに

すぐわかるはずなのにね

口をつけた瞬間に


違った


って、ね


それでも間違えたはずのミルクティーを飲み続けて

やたら、口の中は甘くて

居心地が悪くて

それでも飲み干して

空になった紙コップ

ごみ箱に、ポイ


ねえ

わかってるはずなのに

口をつけた瞬間に


僕たちはふたりとも罪人かな


ねえ

ねえ?


ねえ

僕は無事にこの夜の日付変更線を越えられるでしょうか?


きみと一緒だったら

越えられるでしょうか?


たとえひとりでも

越えられるでしょうか?




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