Epilogue
Epilogue
これが、しばらく前に私たちに起こったことの全てです。
時は本質として流れ去るもので、そして私たちは基本的にその全てを語る手段を持ちません。――私が思う終わりと、そして彼女が思う終わりには、きっと齟齬があるのです。始まりに齟齬があるのと同様に。
彼女が私に出会った時、私はまだ彼女に出会えていませんでした。つまりは、そういうことなのです。世の中の全ては、きっとそんな風にできているのだということの、それは象徴なのです。
けれど、私は彼女の始まりと終わりに同意しようと思うのです。
『私たちに起こった全てである』というのは、私のその意志の表れです。
私は、認めなければなりません。――彼女を傷付けたことも、好かれたことも、好きだったことも。全てを。
だから、エピローグはこれくらいに留めておくことにします。そうすればきっと、その時の彼女の気持ちに寄り添うことができるような気がするのです。
それに、ラブレターの返信は、ふつうきっと短いものだから。
これでいいのです、きっと。
溶け切らぬ粒子たちのようなこの想いが、どうか届きますように。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます