fragmentary fright

「ちょっとしたクイズみたいなもんだと思って聞いていただきたいんですがね」

 目井めいさんはとある不安を抱える患者様に向かい合った。

「とある物質が実在するんです」


「はあ」


「その物質を冷やして固めたもので急所を殴られると、命を落とす可能性があります」


「ええ!」


「また、その物質を熱したものも凶器になり得ます」


「うわあ!」


「常温のものでも、一定以上摂取すると死に至ります」


「ぐわあ!」


「そして実は、この物質は私達の身近に存在します」


「嘘!?」


「本当です。 ……さて、どう思いますか?」


「そんな危険なものなら、排除しなきゃダメじゃないですか!」


「そうですか。ちなみに、この物質はです」


「え…… な、なら排除しちゃダメですね……」


「はい。水とは全く違うものなので一緒にしてはいけないんですが、これに少し似ている気がするんですよね。断片的な情報だけで例の新型ウイルスに過剰な恐怖心を抱いてしまうのって。

 風邪やインフルエンザの予防と同様に、マスクをしたり、手洗いうがいや消毒などに気を配りつつ、怖がりすぎずに普段どおり過ごしていただければいいと思いますよ」

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