第七十四話 ①ピリオドの暗号と俺の全力!

 パフェットの目は虚ろだ。しかし、確かに目を開いて俺の方を見ていた。しかも、パフェットは、アスタリスクと一体になっているためか苦しそうだ。


「ガーリックさん、助けてくださいっ……! 苦しいですっ……!」

「パフェットが、苦しそうなのは分かってるんだ!」


 俺は、もどかしくて頭を掻きむしった。しかし、肝心の策が出てこない。


「アスタリスクをパフェットから取り出すにはどうすれば良いんだ……?」


 俺は、うーんと、頭をひねって考える。


「アヒージョ? アヒージョは、どうやって自分からアスタリスクを取り出したんだ?」

「誰かに助けられたんですけど、その誰かが分かりませんの。方法もわかりませんわ」

「クエッション……じゃなくて、クエッション様? クエッション様はその方法を知っているんですか?」


 低姿勢で頼む俺に、クエッションは気持ちよさそうに大笑いした。


「ああ、知っているとも! その低姿勢、素晴らしい! 良いだろう、教えてやろう!」


 クエッションは、暗号を一つ作り出して俺に寄越した。

 何の変哲もない点だ。


「この暗号の記号は?」

「ピリオドの暗号の記号だ」

「文章の終わりに付ける終止符のピリオドか」


 そのピリオドの意味に、嫌な予感を禁じ得ないが。


「アヒージョ、この暗号をどうすれば良いんだ?」

「この暗号を解けば、パフェットは助かる。そういう暗号にした」

「じゃあ、早速!」


 俺は、手を打ち鳴らして、開いた。


「解読!」


 呪文を唱えると、暗号は震える。しかし、俺の体に衝撃が走る。


「うああああああああああああああ!」

「……でも、ガーリックは耐えられるかな?」

「あああああああああああああああ!」

「私も援護しますわ! 解読!」


 でも、このピリオドの暗号さえ解読できれば、パフェットは助かるはずだ。


「「あああああああああああああああ……!」」


 俺は、暗号を解読させる力を注ぎ続ける。アヒージョも、全力の解読を暗号に注ぎ続ける。暗号は、俺にずっと衝撃が送られてくる。アヒージョも隣で耐えている。俺の意識が遠退いてくる。


「「あああああああああああ……! ……――」」


 アヒージョが崩れ落ちた。

 そして、俺も地面に崩れ落ちる。

 ぱっぱらっぱっぱぱーと、どこからともなく効果音が鳴った。


『暗号が解読されました! おめでとうございます!』


 アナウンスと一緒に、空に文字が並んだ。


【答え:パフェットさんからアスタリスクを取り出します!】


「やった……!」


 暗号の答えがにじんだように、視界がぼんやりしてくる。


「よく頑張ったな、ガーリック」


 全力を尽くしたせいか、全身から力が抜けていく。


「でも、お前は終わった。残念だったな」


 俺は、クエッションの笑い声を聞きながら目を閉じた。

 そのまま、俺の意識は暗転した。

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