ビターナイトメッセージ

眠れないまま明けた朝

空の端の夜の尻尾を

つかんで引き戻したい位

闇に馴染んだ目が痛い


まぶしく白い光が

僕を溶かしてしまいそう

跡形もなく溶けるなら

むしろ望んでみたいけど


焦ったりねたんだりひがんだり怒ったり

醜い感情程 それはもう 鮮やかに

僕の中に息づいて 僕の形してるから

「そんなモノ 僕じゃない」と

言いたい内は溶けられない


この胸の泥の奥の底

その声をあげたのは何だ?

僕の押し殺した息

僕が忘れたふりの僕

僕にようやく聞こえた

青い月よ 消えないで

この胸の叫びは飼い慣らせないから



幸せってモノは たぶん

噛み締めると塩辛くて

苦くて渋くて そして

香ばしくて少し甘い


息が切れるまで ずっと

声が続く限り もっと

燃え尽きる位 歌えたら

僕は幸せなんだよ


ぬるま湯のうたた寝の安っぽい白昼夢

甘くだるい嘘程 それはもう 本物臭く

幸せを名乗っては 僕をたぶらかそうと

ひたひたと近付いて

歌う僕を嘲笑う


この声が君に届くなら

その臆病な目を開いて

僕の輪郭に触れて

僕が此処に居る事を

僕に教えてくれないか

青い月を見上げれば

この胸の叫びは飼い慣らせないから



夜を怖いと思わなくなったのはいつだろう?

寝ずに過ごす夜程 それはもう 大切っぽく

僕と僕を向き合わせ 過去・現在・未来まで

透き通る闇の中

映し出す 暴き立てる


その声が僕に届いたよ

この臆病な手を挙げて

君の輪郭に触れて

君が其処に居る事を

君と僕で確かめたい

青い月の面に映る

この胸の叫びは飼い慣らせないから



***


from PRINCESS SWORD

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881697781

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る