第14話「巨大戦車主砲」
―――主砲は真っ直ぐ竜胆白を―――
俺とこの敵のボスらしい男の対峙は、周りの人間全て目を集めていた。
「さて、俺はお前を倒す訳だが、こんな所でみんなの前で倒されたらもう面目ないんじゃ無いかな。穴があったら入りたくなるんじゃないかな。そう思って入る穴は用意する事にしたよ。」
ここで悪の組織のトップになる訳だ。他者に向けるのとは違ったイメージでアプローチする。
もちろん名乗る名前も他とは変える。
「俺の名前は隼と覚えて置いて貰おうかな。」
そう言う俺の微笑みはまるで凍てつく様でいて、辺りの空気は凍り付く。
「おおぉれはブートン。おおぉれのビートで貴様を叩き潰してやろおぉう。」
歯をむき出しながら笑うブートン。
ブートンは身体でリズムを刻み出す。
「お前の本気の攻撃を俺が見事に交わしてやろう。だから、遠慮は要らないからおいで。」
左手を前に出し指を二度曲げて挑発する。自分の腕に自信が有るのならこの挑発に乗らない訳はない。
「てめえぇが言ったその言葉、後悔させてやるぜえぇ。ブワァンブワァンブワァン...」
ブートンの身体はそのブワァンと言うボイスパーカッションに合わせて段々と大きくなってゆく。
「ほう、それがお前の技か、俺も最強の技でそれを受けさせてもらう。赤の聖剣よ来たれ。」
ブートンの身体が大きくなっていく中で、竜胆白は聖剣を呼ぶ呪文を唱えた。
そして、その手の先に聖剣が現れるはずだった。しかし、聖剣が現れる事はなかった。
「おい、待てよ、なぜ出ない。」
焔架連は俺の元に現れなかった。
そうか、条件には火の聖霊が近くにいる事が必要。この近くには火の聖霊が居ないということだろう。
今更引き下がるわけにはいかない。
こうなれば、身体能力を信じて真っ向から迎え撃つ。それが最良の手だろう。
拳で迎え撃つ覚悟は出来た。後は奴が攻撃を仕掛けてくるのを待つだけ。なぜ、こちらから仕掛けないかは言うまでもなく、奴の本気を完膚なきまでに叩き潰してやる事が大事になるからだ。
「準備は出来た。これを受けた者は全員吹き飛ぶ俺の主砲を受けてみろ。」
身長が二倍程に大きくなっている。恐らく五メートル程度だろう。そしてやつは攻撃態勢に移行、その拳はバスケットボール程の大きさ。こちらも構えなくてはならない。恐らくだが大丈夫だ。
「必殺、
ブートンはその自慢の拳を撃ち放った。大きものの動きは鈍い飛んできた拳を右手で掴み、そのまま投げる。
頭、左肩から腕の先、広背筋に、骨盤、裏腿に脹ら脛、左半身を全て支点にし、ブートンを投げて地面に叩きつけた。
実に早く、勝負に決着が着いた。ブートンは大きくなった自分の重さと衝撃で倒れた。
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