第2話

子供部屋には、やわらかいサッカーボールや怪獣人形やヒーローの人形やゲームセットやリカちゃん人形や動物のぬいぐるみ、ブロックで出来た飛行機や木で造った電車が足の踏み場もなく散らかっていた。


突然ゆっく~りと"おもちゃのチャチャチャ"のオルゴールが鳴り始めると、隅の方に有った丸みのある可愛い電車のぬいぐるみがグラグラと揺れ始めた。


その丸みのある電車が、行きなり、ヒョコッと電気抵抗の単位のΩ (オーム) みたいに縮まった。

ペニョッ、ペニョッといった感じで青虫みたいにオームに成ったり伸びたりしてクネクネと目の前を歩んで進んで行く。


壁の向こうに消えて行く。

しかし、青虫電車には、見えないオモチャ社会のお茶目な友情の糸が付いていた。

入れ代わりにダンス好きなクネクネした扇風機が、入って来た。


首や土台や網やボタンが小刻みにブレイクダンスをし、フットステップをし、お茶目に楽しんでいた。 途中一部でタップに早変わりをしたりする。


腕で床を押さえ、足が空中に浮く。

右手で安全用の放射状の網を外して帽子みたいに別れの挨拶をした。

プロペラが有り得ないスロー回転し、機体は、浮き逆さに成った。


"さよなら"を思わせて電気が下がり、辺りが薄暗く成る。 さらに演出が続く。


逆さの扇風機が星柄を輝かせ、天井に星空を創り出した。

天の川・流れ星・各々の星座・星群・鮮やかな芸術的UFO!?が、大宇宙を描き上げていた。


かと思うと天井、四方の壁、床といった順番に天体映像が風によって動くオーロラに早変わりした。

そして部屋一面が南極にも成った。 その中に七匹の各々 多種多様なデザインの物や色鮮やかな錦鯉が六面を泳ぎ出し、空中にも空間にも泳ぎ始めた。  艶やかで色が引き立ち、点滅もした、《 イキのいい芸術 》の堪能だった。


 数分後、フェードアウトして幕が閉じられ、普通に戻っていく。

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