第11話
隆平の病院を2人が訪れた二日後、哲也と鹿島の2人は動物の不審死を一から洗い直していた。
2人は地域の情報を集めるため、地域課に訪れていた。
「意外と通報された件数ってあったんですね。」
鹿島が首をゴキリと鳴らしながら、哲也の方に向く。鹿島の右手にはかじられたドーナッツが握られている。
「少し前までお前が居た部署だろうが。」
「いや、確かにペットが殺されたとかの通報が多かった気がしたんですが、いちいち全ての通報を通して調査しませんよ。」
「まあな。だが、ここの地域だけ、他の地域の通報数と比べると1.3倍にはなっているぞ。明らかにおかしい。」
「あ、本当ですね。」
「去年の秋ぐらいから増えてるな。おい、地図を持ってこい。」
哲也は鹿島をパシリにする。5分後、鹿島が地図を片手に戻ってくる。
「最初の通報はここで、次はここで...」
哲也は通報された事件を時系列にして、地図にマーキングしていく。
「テツさん、これって...」
「ああ、円上に広がってきていやがるな。連続殺人の犯行現場も重なっているな。次の事件が起きるとすれば、ここら辺りか?」
「捜査本部に戻って報告しますか?」
「ああ、そうしよう。」
2人が資料をまとめていると、哲也の携帯が振動する。携帯を見てみると、課長の名前が表示されていた。
「はい、もしもし。」
「おい、テツ。今どこに居るんだ?」
課長が電話口で喋っている最中、課長の背後がザワザワとうるさい。
「今、地域課で通報案件を洗っていたところです。新しい情報が出たので、今から本部に戻って報告するつもりだったのですが。」
「新しい情報?」
「次の犯行現場が予想出来そうなんです。次の犯行が起きるとすれば、4丁目か5丁目だと思われます。」
「分かった。詳しい話はあとで聞くが、すぐにパトロールの強化をさせておく。」
「ところで、課長。何かあったんですか?」
「ああ。有力な情報が入ったんだ。今、鑑識のチームを派遣したから、お前達も向かってくれ。」
「どういうことです?」
「この事件の容疑者が見つかったんだ。」
哲也はその言葉を聞くと、鹿島に合図を出して車を出す準備をさせる。
課長から指示されたその現場は、連続動物不審死事件の円の内側であった。
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