優しさは歴史に残らない




白の少年は、摂政を見上げるも

 目が合うのを避けるように、


夕焼けに視線を反らして、淡々と告げる。



しかし、摂政は、

恐怖で支配されている。




大衆の羨望の視線が

次第に冷たくなっていくのだ。



大衆は、

完全に染まり切ってはいない。



元々から、絶対的に

摂政を慕っているものもいるはずだ。





しかし、冷たく変わった視線の一つでもあれば

それに囚われてしまう。




「摂政なんて

王が王になるまでの補助輪









つまり、お前は用済み」


白い少年の明るい嘲笑が、

摂政の存在自体を否定する。





摂政は氷柱で

心臓を抉られた感覚がした。




傷付いた様子の摂政を見た後、

ノアは辺りを見渡す。





黒船の外交官が止めても、

摂政を貶す少年。





まるで弱い者虐めの様だ。



摂政を心配するものが、現れる。


ノアを一瞥する視線があれば、

態と鋭く笑って見せる。




すると、それは波紋の様に広がり、

 ノアに向ける嫌悪、憎悪の視線が集まる






大衆の変わり様に、

安堵して、微笑みそうになるも、

表情を誤魔化した。







大衆が指差す方向は、

      いつも一つだけ。







なら、出ていく奴が

  指差されていた方がいいに決まっている。








ベリルも、大衆の悪意が、

ノアに向けられていることに気付く。








そこで、

やっとノアの真意に気付いたのだ。









「……理解出来かねる」








その自己犠牲が

   理解できずに、愚かだと苛立った。


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