王の言葉に従うは、



ベリルは、平静を装っているが、

双眸が悦びで小刻みに震える。


この国は電子化を、

まだ、命令されていない。



だからこそ、『確認』を行えた。





彼の付き人を王として振舞い、

王の嫉妬を煽り、

王自身の開花に成功した。




それは、純粋に彼が

革命を愛していて、進化の奴隷だからだ。




国を電子化する理由を

先延ばしにしてしまった代償は、

1週間の軟禁生活だろう。



だからどうした。



自己犠牲で済むのなら構わない。



そう思ってしまうのが偽善者というものだ。








ノアはといえば周囲を見渡す。

彼の暴挙に混乱している様子だった。






しかし、彼は王なのだ。




これも、正しさの一つだとノアは思う。





完成されている王などいない。

だが、全てが大衆で

出来た様な国に王が出来た。


それは、

ある種の破滅の生むのでは――

などと、思考をめぐらすが、




一つの国のことなど、

他人が長く気に留めることではない。





どうせ、全て趣味だ。








彼は、王だ。





神が定めた王だ。







そんな事より、

あのトマト赤くて可愛かった。









元々その為に舟を停めた者と、

他に深く介入することを嫌う者である。








王が、定めた「終わらない」選択に

彼らは従った。




「だから、今は選べない」





――選択はしない


王の発言に

二人は異論はない。




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