廃墟は憂暮れ時に、
ノアの読み通り、
会議が終わった時には青空は沈んでいた。
穏やかな夕焼けが、廃墟の国を包む。
これを、夕暮れ、
或いは憂暮れというのなら、
この悲しみも、終わるのだろうか。
奥の間から帰って来た王が玉座に座り、
その傍には側近。
そして、多くの貴族や、騎士が
王を囲う様に並び、黒と白を見下ろしている。
その眼は据わっていて、
終わりなのに、生命を感じる眼。
本当に野菜を見にいっていた少年は、
土に塗れた様子が微塵もなかった。
椅子から席を外し、
形式上、とばかりに王に跪いている。
しかし、白い手袋は外していない。
飽くまでも自身が上である、という証だ。
それなのに、
その態度が相応しく感じてしまうのは、
彼が、あのノアであるという確信からである。
救世主が、膝を折っている。
それだけで十分であった。
ベリルは黒い手袋を外し、王に跪いていた。
その精悍な眸に孕むは、
仄暗く凍てつく、底なしの深淵。
この飛行艇國の人々が取り囲む中、
王は、また、大きく息を吐く。
「――答えは決まった。」
そして、吐き切る。
表情は堂々とした風格が貼り付けてある。
王は、彼らに厳かに一歩ずつ近づく。
答えは決まっているのだ。
そして、
少しだけ斜めへ進む。
一方へ、真っ直ぐに近付き、周囲もそれを見守る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます