梅雨

 灰色に沈む海底都市。

 煤けた学校の薄暗い教室に一人座る。

 呼吸と共に大量の泥水が肺に流れ込み、汚れたエラから少量の憂鬱を吐き出す。

 ドアが静かに開いて大きな鯰が教壇に立った。

 退屈な一時間を予感して、漫ろに苔の生えたコンクリート群を眺める。今日も架かるはずのない虹を探して生きるだけ。

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