第12話 ひろい世界
僕は本の中で俯瞰の思考として居たかった。
僕はカンバスの中の世界で筆として居たかった。
僕はディスプレイの中の世界で文字として居たかった。
膨大な数の意思、果ての知れない宇宙。
広い世界に拡散する思考を僕は必死で繋ぎ止めている。
だけどほんとのことを言うと、もうすでにほとんど自分の位置がつかめていない。
泳ぎ方も知らずに星の海を泳いでいる。
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