第10話 炎の揺らぎ
じっと自分だけを見つめていると、
揺らぎが止まったろうそくの炎のように、
ふっと鮮明に世界の輪郭が見えるようになる。
僕は生きる限りその訓練を続けている。
しかし、極稀に、存在だけで、
その止まった炎を再度揺るがし、
僕を前後不覚にするものがある。
それは何故か、何のために起こるのか。
僕の身体の原子がざわざわと何かを言っているが、
もちろん聞き取れない。
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