遠い昔の詩

ゆとり

第1話 靴を見つめる人

両の手のひらを耳に当てる。


耳に意識を集中させる。


脈の音が聞こえる。


さらに耳に意識を集中させる。


脈が身体に反響する音がごうごうと聞こえる。


さらに耳に意識を集中させる。


脈の音に混じって、小さく何かの音が聞こえる。


さらに耳に意識を集中させる。


小さな音が鮮明に聞こえるようになる


雑踏の音


人々の話し声


踏み切りの音


さらに耳に意識を集中させる。


赤ん坊が泣いている声が聞こえる。


私か?


私か・・・・・

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