第32話「対決」
空魔団団長エコーとスーパーモモンガなどの空中部隊たちは空中の敵を蹴散らし、すでに上陸して、シャフト沿岸部の基地を制圧に向かっているハングライダー部隊の追撃に向かった。
モモンガ達の速攻攻撃に、なんとか持ってる機銃等で応戦をするも残念ながら対処出来ずに、次々とアサマ軍の兵士たちは倒れていった。
また、モンスターにアサマ兵とシャフト兵の区別がつくはずもないので、その場でアサマ兵と戦っているシャフトの兵も、ともに殺されていった。
モモンガの羽が身体を切り刻み、アイアンバーディーの鋭い爪が皮膚を貫く。
その時この場にいたシャフト兵達は、はじめてモンスターに気を許していた俺達がバカだったと気づいた。
所詮、言葉が通じてもモンスターはモンスターなのだと思った。
戦場は一転してモンスターと人間の構図を呈してきた。
しかしそこに勇者アサヒが戻ってきた。
「あんまりいい気になるなよ、魔物どもよ。」
勇者アサヒたちはいち早く、シャフトの沿岸部の基地の制圧に向かっていたが、事態に気づき、魔物が暴れてる海岸へと戻ってきたのだ。
「結構いるなぁ…。モモンガだけで500以上?他のやつも空中に、うじゃうじゃいるよ。」
武闘家のドライはここまでにこれほどの軍勢を相手にしたことはなかった。
「今までで一番多いかもしれないですね。」
隣にいる女魔術師スターチは少しおびえ気味だった。
「腕が鳴るなぁ。」
ホップが身の丈ほどもある、大剣をかかげる。
「まだ雲もあるし、とりあえず一発ぶっ放しておくか。ドライちゃん、ちょっとの間俺のガードよろしく!」
「了解!」
勇者は魔力を集めはじめる。
例の雷魔法を使うつもりである。
この魔法の欠点は完全に指先に30秒ほど集中しないと使えないということであった。
もちろん、そのスキをモンスターたちは見逃さずに、勇者たちに襲い掛かってくる。
しかし、襲ってきたモンスターには容赦なく武闘家ドライの蹴りが決まり、吹き飛ばされる。
2匹、3匹と吹き飛ばされていくアイアンバーディたち、速さが売りの彼らでも武闘家ドライのスピードについてこれない。
しかし、あまりに数が多いために、勇者に襲い掛かるバーディーを一匹取り逃してしまった。
「勇者の首もらったぜ―――!」
アイアンバーディーが勇者に向かって突き進むその時、
スパンっ!!と水のレーザーが、アイアンバーディの目を貫いた。
「ドライちゃん、もっと気をつけないと!」
魔術師スターチの
後方から勇者を、守っていたのだった。
そして、そのスターチの周囲をホップが援護する。
そして時間は稼げた。
「オーケー、ご機嫌だぜ充電完了!みんな、耳をふさいどけ。」
勇者は指先を雲に向かって突き出した。
「ぶっぱなしちゃって!」スターチが嬉々として叫ぶ。
「
瞬間に上空の雲全体が、白く光り、
ズドーーーーーーーーーーーーーーンッ!
と、上空から地上まで目の届く範囲のモンスターの多くに雷撃が直撃した。
さらに、地面を通して直撃をさけたモンスターも感電した。正直なところ巻き込まれて倒れた人間の兵士たちもいたが、アサヒはお構いなしだ。
「今日のおれは最&高だぜっ。」
アサヒはどや顔で、ポーズを決めている。
そして倒し損ねたモンスターの掃討にむかい、すぐさま戦士ホップが走り出す。スターチもそれに続き、さらに生き残ってるアサマ軍の兵がそれに続いた。
すると、事態を見て速攻で飛んできた空魔団団長エコーが、勇者たちの前に、いや上に立ちふさがり、上空から見下ろしてきた。
「…わだすの部下たちを、よぐもぉ!」
エコーの目の色が文字通り赤く変わり、今までにない怒りを示している。
「あんたが、トップってとこかな。大したことなさそうだな。」
(アサヒ…魔法力はまだありますか。)
不安そうにドライが朝日に尋ねる。
(まぁ、雷はもう無理だな。協力たのむわ…。)
「死ね勇者!!」
そういうと、エコーはまっすぐ勇者に向かって突っ込んできた。
持てる自身の最高の最高時速450㎞で!
速いのは知っていたが勇者たちの予想をはるかに超えるスピードだ!
(くっそ、よけきれねぇ!)
食らうと思った瞬間に、勇者は誰かに突き飛ばされた。
ぶっしゃぁぁぁ!!
勇者の目の前を鮮血が走る。
鮮血のもとには武闘家ドライがいた。
上半身と下半身がきれいに分かれていた。
エコーの特攻を勇者の身代わりに受けて、ドライはその身を散らした。
見た瞬間にわかる即死であった。
「ドライ――っ!」
散ったものの名を叫ぶ勇者。
「てめぇ…。よくも。」
再び空に舞い上がるエコー。
「次はお前だ勇者、絶対に殺す!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます