あの日の嘘つきプレリュード
まんごーぷりん(旧:まご)
Prelude
prologue. 嘘つきの奏でる音楽なんて
❄ ❄ ❄
――損はしたくないの。
あの日のあたしはそれだけを告げて、サークル棟205号室を後にした。
階段を響く、黒いショートブーツのピンヒールの音。
緩く巻いたパチもんのバーバリーチェックのマフラーがほどけてくる。
寒い日だった。「午後からは日差しが出て暖かくなるでしょう」なんて天気予報のお姉さんは言っていたけれど、お天道様が姿を現している間じゅう会議室に閉じ込められていたあたしには関係の無い話。
これからは、今までに出来なかったことをしよう。
人に会わないでおこう。授業以外、家に引きこもっていればOK。本を読んだりゲームをしたりして、元気を貯めるんだ。
いろいろチャージされたら久々に美容室に行こう。ココアブラウンに染めた髪の毛はすっかりプリンになって、毛先が傷んでいた。バイトもしなきゃ。カラーにカット、意外とお金がかかるから。
そして、
音楽なんて、やめてしまおう。嘘つきの奏でる音なんて、どうせ耳障りなんだ――
❄ ❄ ❄
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