RUM-赤尾大学麻雀サークル-

リヒト

第1話



荷ほどきも終わり、家具の位置も決め、無事に部屋は完成した。


「それじゃあ、父さんは帰るからな」

「おう」

「一人暮らしだからって羽目を外しすぎるなよ。 俺も大学に入った頃から飲みまくってたから強くは言わないが、飲み会をやるなら二十歳までは事件起こすなよ」

「確かにそう言うのもあるかもだが……親が息子の二十歳前の飲酒を黙認するなよ」

「捕まらなければ犯罪じゃねえよ。 ……じゃあな。 夏には実家に帰ってこいよ」

「おう、じゃあな」


そう言い残し父さんは帰っていった。





「……くくく……ははは……ハーハッハ! ついに、ついに念願の一人暮らしだ!」


この俺、東霧人(あずま きりと)はこの春、実家から離れた県外の赤尾(あかお)大学、通称赤大に入学した。


「永かった……高校三年間、男子校でひたすら勉強浸けの毎日。 女子との交流もなく地獄だった…… だが! 大学生になった以上、彼女も作り、最高の学生生活を謳歌してやるわ!!」


朝は雨が降っていたが、父さんが帰るくらいから止み、俺の門出を祝っているようだった。


「……さて。 こんな漫画みたいに一人でスピーチしてないで早速動き出すか」


家具とかは準備したが生活用品とかがまだだからな。






「初日から幸先が悪すぎるぞ……」


近くのストアーによる途中、朝の雨でできた水溜まり上を車が勢いよく通り、見事にずぶ濡れになってしまった。

まさか、一人暮らし初めてのアクションが洗濯になるとは。


「よし、洗濯完了。 後は干すだけ……あ、ハンガー準備してなかった」


ベランダに物干し竿はあるがハンガーはないから干せない。


「……仕方ない、そのままかけるか」


俺はベランダに出て干し始めた。







バンバンバン



干しながら布団叩きをしている音が聞こえた。

おそらく、このアパートの住人が布団を干しているのだろう。


「よし、後はパンツだけ」


俺はパンツを干そうと……


「うお、強い風……ってしまった、パンツが!」


突然の強風により、手に持ったパンツがベランダ外に飛び出してしまった。

そして……




「キャアアアアアアアア!!!!!!」




女性の声がこの場にこだました。

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