届いたよ、林檎さん。「正しい曲」

Mステの「正しい街」。


歌い終わった彼女の顔は、マジでした。


全員黒い衣装。

ギターは田渕ひさ子さん。

ジャズマスター使いで有名で、発育ステータスで林檎さんと一緒にやったこともある同郷の友達。

ベースはTOKIEさん。

ベースマガジンで見たことあるかただ。

どういうつながりなのだろうか。

ドラムはBOBOさん。

奥さんがドラム叩くミュージシャンという、ご夫婦でドラマーという世界で唯一っぽいおかただ。


みんなNumber Girl(向井秀徳さんの福岡のバンド、ギターは田渕さん)繋がりだろうか。



彼女はなぜクールな一瞥だったんだろう。



どうしてわざとヘタっぽい声で、昔の感情そのもので歌ったんだろう。



そう。

わたしは、やっと気がつく。



彼女にとって、作った曲はいつまでも正しい。

そこまでして作っているから。

「ちょっと弱音を吐いている曲です」

という十代の作品。

自分に向けて、誰かに向けて真剣に書いた曲。

それを四十代のいまでも真剣にやった。


終わって頭を下げるときにハナがマイクに当たっても、そんなことどうでもいい。

はにかんだり、お粗末でしたなんてひとこと言ったり、あり得なかった。

そんなことを想像したわたしは、卑しかった。


涙が出ました。

ありがとう、林檎さん。


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