虚言症〜壮大なるウソ
2000年3月31日にリリースされた椎名林檎のセカンドアルバム
「勝訴ストリップ」
の1曲目が
『虚言症』
です。
「あおぞら」よりもさらに古いこの曲の出自を、ファンはよく知っています。
ある日に新聞に載った「線路上に寝転んで命を絶った少女」の記事。
それがきっかけになって、JK時代の椎名少女が書いた曲です。
林檎さん自身は、こういっています。
〜あの頃のわたしはなんと傲慢だったんでしょう。あなたのために歌うことが出来るとか、大丈夫だとか〜
作った当時、曲の題名は「大丈夫」でした。
「いつも君を想っている」
「いたずらに疑ってみたりしないで、大丈夫」
「無理矢理に繕ってみたりしないで、大丈夫」
「大丈夫」
最近の林檎さんは、こうもいっていました。
〜当時は小さなウソだったのが、時間を経て大きなウソになってしまった〜
そうですね。
壮大なウソだと思います。
虚言です。
そうなのです。
音楽はウソなのです。
小説もウソ。
マンガもウソ。
落語もウソ。
映画もウソ。
ディズニーランドもウソ。
大きな大きなウソを、これでもかとばかり、終わりなく吐きます。
何のために?
自分のために。
あなたのために。
誰かのために。
芸術はウソです。
それは人間に許された最大の美徳のひとつ。
誰かを救うためにウソを吐く。
巨大な虚言はこの世の美しい真実のひとつです。
表現者椎名林檎は、身を削りながらウソを積み重ねて偉大なウソを構築します。
彼女が紡ぎ上げた壮大なるウソ。
まばゆい限りの宝石のようなウソの数々。
そのひとつひとつに、真実が込められています。
尊い真実が。
〜美しい曲です〜
自分でいうのもなんですが、としながらも、林檎さんはそう語りました。
最高に、最高に美しい曲です。
彼女のクリエイターとしての原点のひとつ。
サビに移る直前の、C♯m7(11)→F♯7(9)→Cmaj7が、そしてサビの後の余韻が、この曲をこの世のものとは思えない至上の作品にしています。
音楽ファンは、必ず涙するでしょう。
生まれて数日で淘汰されてこの世にいないはずだった彼女が、他人の命を思って歌うこの曲。
まさに彼女の代表作だと、わたしは思います。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます