【GM用】シナリオ
【オープニングフェイズ】
・シーン1:夢の中での邂逅 PC①
PC①の夢からシーンはスタートする。
君はかつてUGNのエージェント養成施設にいた。その施設では幼くして、あるいは生まれながらにオーヴァードであった者を教育していた。レネゲイドウイルスの制御の仕方を学ばせ未来のUGNチルドレンの育成を目指していた。
親元から離され訓練施設で生活することは、幼い君たちにとって苦痛であった。しかし、君はその環境において孤児だった少年蒼真と出会った。
蒼真:「ねえ、PC①。僕には名前がないってことは知ってるだろう?」
「蒼真って名前は、僕の目の色から先生が付けてくれたみたいなんだ。でも先生は呼ぶのには名前があれば十分だって言って、苗字は考えてくれなかったんだ。」
「僕は、誰からも大事にされていない。でも、PC①は11年間孤独だった僕にやさしく接してくれた。まるで友達みたいに…。ねぇ、僕のお願い聞いてくれる?」
「来年の卒業試験に合格したら、僕たちは1人前の人間として外の世界に出る事ができる。その時に僕が使う苗字をPC①が付けてくれないかな。」
「先輩たちは、卒業したら別々の支部に配属されていることが普通だって言ってた。僕はPC①のことを忘れたくないんだ。いつまでも君を近くに感じていられるように、僕の名前を君が付けてくれない?」
PC①が蒼真に名字を付ける。
蒼真:「ありがとう、PC①。僕は(今日からPC①が指定した苗字を入れる)蒼真だ。…来年の卒業試験、一緒に合格して、一緒に外の世界に出よう!」
そして、2人が12歳となった年の卒業試験。それは実践の中でも自分を見失わずにいられるかを試す模擬戦闘だった。
試験を受ける訓練生たちはA組・B組に分けられ、それぞれの上位1名のみが都内の支部に配属されるというものだった。くじの結果、PC①と蒼真はA組の決勝戦で戦うことになった。2人一緒に外の世界に旅立つことはできなくなった。
蒼真:「仕方がないよ。今年はこういう試験だったんだから。全力を尽くそう。」
★オープニング戦闘★
敵は蒼真1人。勝利条件は蒼真の戦闘不能。PCとの距離は5m。この戦闘においては、一切浸食率が上昇せず、戦闘終了後HPを最大値まで回復する。さらに使用したエフェクトのシナリオ回数の制限を回復する。
蒼真:「PC①、おめでとう。僕のことは気にしないで。すぐに追いついて見せるから。」
そう言って笑った蒼真の顔が忘れられない。施設を卒業後T区支部に配属されたあなたはUGNチルドレンとして5年を過ごした。しかし、その後蒼真と会うことはなく、彼の消息もあなたの元には届いていない。
鳴り続ける目覚ましの音にあなたは気づく。とても昔の夢を見ていた気がする。体を起こして時計を見るとAM9:00だった。今日のUGNのミーティングはAM9:00からだったはずだ。慌てて、PC①が自宅を後にするところでシーンをカットする。
・シーン2:富豪の護衛 PC②,PC③
T区支部のミーティングルーム。部屋にはPC②、PC③、若月華奈の3人がいる。部屋の大型モニターに霧谷雄吾の姿が映し出される。
霧谷:「T区支部の皆さん、おはようございます。おや?1人足りないようですが…PC①さんに何かありましたか?」
華奈:「寝坊よ、寝坊!さっき奴の端末にハッキングをかけたら、GPSはまだ自宅にあったわ。そのあと、遅れるってLINEが来たのよ。」
霧谷:「(苦笑い)ははは、そうですか。ではPC①さんにはあとで伝えるようにしてください。先に皆さんに今回の任務の内容をお伝えします。」
「今回、皆さんにはT区博物館での護衛の任務にあたっていただきます。」
「護衛の対象者は、米国の富豪インダス・J・クロウリード氏と彼の持つレネゲイドクリスタルです。」
「インダス氏は自分の体に自由に出し入れすることが可能な特殊なレネゲイドクリスタルを所有しています。その石は一般にはゴルゴンゾーラ・ダイヤと呼ばれて、宝石としての価値が高いとされています。」
「今回、氏は自身から摘出したレネゲイドクリスタルを、45カラットのダイヤとして展示する予定です。インダス氏自身とレネゲイドクリスタルを護衛するのが今回のあなた方の任務です。華奈さんは支部からバックアップをお願いします。展示期間は明日よりの7日間、インダス氏は本日の夕刻に博物館に到着されます。皆さんはそこで、インダス氏と会って任務を開始してください。何か質問はありますか。」
霧谷との通信が終了した時にPC①が支部に到着したと、入り口の職員から連絡がある。シーンをカットする。
【ミドルフェイズ】
・シーン3:インダス・J・クロウリードという男 PC③
PCは全員登場。場所はT区博物館。君たちが到着すると、黒服のエージェントを両脇に従えた紅いスーツの長髪の男性が現れる。
インダス:「ウェルカーム。ユー達がミーの護衛をするというジャパンUGNのエージェント達デスカ?」
「イェス。いかにも私がインダス・J・クロウリードデース。」
「それにしても、ジャパンのエージェントはひ弱そうに見えていけませんネ。本当に護衛が務まるのか不安になってきマシタ。」
「あなた方が私の護衛にふさわしいかテストしマース。私の従者とのデュエル、受けてくださいますネ?」
ミドル戦闘
敵はコピーキャット従者とドラゴンエッガー従者1体ずつ。勝利条件は敵戦闘不能。PCとの距離は5mで、敵とPCはそれぞれ同エンゲージに存在している。
インダス:「ワンダフォー!私の従者を倒せるあなた達なら安心デース。」
「ついてきなサーイ。私が館内を案内シマス。」
「明日の早朝、この台座に私のレネゲイドクリスタル、ゴルゴンゾーラ・ダイヤを設置しマース。そこからはユー達の仕事になりマース。」
「さて、私はこの先の貴賓室で休ませていただきマス。あなた方にも部屋を用意させましたので、今晩はくつろいで過ごしてくだサーイ。」
ロイスを結ぶ時間を取る。
インダス:「NOOOOO~~~!!」
数分後、インダスの向かった方向から叫び声が聞こえる。
PC達がインダスの元に向かうと、左目から血を流し、インダスが貴賓室のソファーに倒れている。窓ガラスは割られており、そこから遠くに走り去る影が一瞬だけ見える。
インダス:「青い目のオーヴァドが突然、窓を割って…私の左目を、ゴルゴンゾーラ・ダイヤを…賢者の石を奪って…」
インダスはそこまで言うと気絶してしまう。状況を整理し、インダス氏を搬送しシーンをカットする。
・シーン4:たった一晩で PC②
T区支部ミーティングルーム、全PC登場。モニターには霧谷、室内には華奈もいる。
霧谷:「昨晩だけで3件もの事件が起こりました。被害者の共通点はインダス氏を含め全員がレネゲイドクリスタル、またはそれに類する物品を所持していたことです。」
「現在、都内にはUGNが把握しているレネゲイドクリスタルが3個存在しています。2つは私が手を回して、既に安全な場所に移しました。皆さんが心配することはありません。残りの1つは、PC①さんあなたの体内にあります。」
「皆さんには今回の連続襲撃事件の早期収拾、及び犯人と思われるオーヴァードあるいは、ジャームの討伐を命じます。何か、質問は…」
ここで華奈がガタリと立ち上がる。
華奈:「3つじゃないわ!霧谷雄吾、都内には4つ以上のレネゲイドクリスタルが確実に存在する。私の情報網がそう言ってる。他のクリスタルも回収すべきよ!」
霧谷は少し驚いた風な顔をするがすぐにいつもの表情に戻す。
霧谷:「そうですね。敵の狙いがレネゲイドクリスタルであるのは明白、無防備なクリスタルが存在する場合、それを放置することは好ましくありません。」
「あなた方の任務に、未発見のレネゲイドクリスタルの捜索、及び回収を追加します。華奈さんバックアップをお願いします。」
情報収集フェイズに移行するため、シーンをカットする。
【情報収集フェイズ】
情報収集中にGMはかかったターン数をカウントしておくこと。情報収集フェイズ中にボスは以下の場所を襲撃する。襲撃後はその地点の調査を行えなくなる。
2ターン目終了時:世田谷区
3ターン目終了時:渋谷区
5ターン目終了時:文京区
7ターン目終了時:江戸川区
情報収集項目の後ろに「☆」マークがある項目をPCが達成した場合カウントしておくことg-2の情報収集において有利となる。
情報収集フェイズに入ると、華奈がレネゲイドクリスタルと疑われるものがある怪しい場所を挙げてくれる。それは以下の通りである。
・a-0 世田谷区に怪しい石が個人所有されている。
・b-0 江戸川区のモニュメントに怪しい石がはめ込まれている。
・c-0 渋谷区にFHの研究所と思われる施設がある。
・d-0 新宿区でレネゲイドクリスタルを体内に持つといわれるオーヴァードの噂がある。
・e-0 文京区の都立大学にレネゲイドクリスタルと思われる化石が所蔵されている。
これらの場所を調査する場合は、宣言後移動を行い項目を知ることとなる(2回目などの場合は他のPCなどは端末通信により事前に項目を知っていてもよい)。
このタイミングで地図を用意している場合は提示すること。なお、T区の位置は現実での台東区の位置とする。
・a-1 世田谷区の調査☆
交渉:8
個人所有主との交渉判定となる。成功した場合、石を回収しそれがデミクリスタルだと分かる。
・b-1 江戸川区の調査☆
知覚:7
モニュメントにはめ込まれていた石がデミクリスタルだと気づくことが出来る。ただし、江戸川区はT区から川を挟むなどして遠いため、この調査に向かったPCは次のターン行動できない。
・c-1 渋谷区の調査☆
情報裏社会:8
FHの研究所の位置が分かり、研究員と戦闘になる。
敵は研究員1体(データはドラゴンエッガー従者を使用)。敵との距離は5mとする。勝利条件は敵の戦闘不能。戦闘勝利後この研究所に保管されていたレネゲイドクリスタルを確保できる。
この戦闘に調査に向かったPC以外が参加したい場合、行動可能な場合は次のターンのセットアッププロセスに登場可能。ただし、戦闘に参加したPCは戦闘にかかったターン数-1ターン次の行動が出来なくなる。
・d-1 新宿区の調査
情報噂話or情報web:8
該当するオーヴァードは、半年前に討伐されており、既に存在しないことが明らかとなる。
・e-1 文京区の調査☆
交渉:8&知識レネゲイド:8
大学に交渉し、化石を見せてもらうと、それはレネゲイドクリスタルに不純物が混じったものだと判明する。UGNに連絡をすれば、回収が可能となる。
・f-1 PC①が過ごした訓練施設に関して
情報UGN:9
過激すぎる訓練の内容やPC①にレネゲイドクリスタルを埋め込んだことなどが問題視され、霧谷の命令によって閉鎖された。しかし、この情報には書き換えられた跡がある。
情報UGN:12
実際にはある1人の暴走した訓練生によって、施設は破壊され、この訓練施設はその失態を隠そうとした上層部によって真実を隠されたまま閉鎖された。
・g-1 蒼真について
情報UGN:8
2年前まで訓練所にいたが、施設の閉鎖と同時に生死不明の行方不明扱いである。訓練所での彼はPC①に追いつこうと必死で、技の鍛錬に務めていたが、ついに正式にUGNチルドレンとなることはできなかったようだ。
情報裏社会:9
よく似た特徴を持つ青年が1年半程前からFHの研究セルに出入りしていると噂が立っている。
・g-2(g-1の両方の項目開示後) 蒼真の居場所
情報裏社会:30(☆付きの項目を1つ開けるたびに難易度が5ずつ低下する。)
彼の出入りしているFHセルで北区にある「セージ・ストーン」にいると思われる。
・h-1 若月華奈について
情報UGN:7
情報処理に特化したT区支部の頭脳。実は彼女の能力は日本支部からも注目されており、T区全体のデータベースとしての役割も果たしている。
情報UGN:9
しかし、その力は実は幼少時に受けたUGNの実験でレネゲイドクリスタルをその身に宿しているからである。
【イベントシーン】
・シーン6:若月華奈の秘密 PC②(または宣言したPC)
PCが、若月華奈の保護を宣言すると発生。
華奈が失踪、行方不明になっていることが判明する。彼女の自室の窓は破られており、誘拐されたことが推測される。彼女の現在地は現在判明していない(シナリオ上調べられない)。
【トリガーシーン】
・シーン7:彼の居場所 PC①(または宣言したPC)
PCが北区のFHセル「セージ・ストーン」に向かうと宣言すると発生。
上記、シーン6の若月華奈の失踪の情報が無条件に開示され、彼女を連れ去った犯人が蒼真であることがUGNの調査により判明する。
【クライマックスシーン】
・シーン8:蒼炎の友 PC①
PC達がセルに乗り込むと、両手で持った剣で華奈から賢者の石を摘出する蒼真に遭遇する。そして、その石を自分の胸にあて何も起こらないことを確認した蒼真は石を投げ捨てため息をつく。
華奈は瀕死状態である。息はあるが戦闘が長引けば危険だろうと伝えること(データ的には戦闘不能として扱うが、PCが範囲攻撃に巻き込むなど無茶なことをしなければ死亡しない。)
蒼真:「やあ、PC①久しぶりだね。俺には出来なかった任務をたくさんこなして、俺には出来なかった仲間をこんなに作れたんだね。羨ましいよ。」
「俺は、PC①のことを親友だと思ってた。でも君と俺では決定的な違いがあったんだね。もう知ってるんだ。PC①、君は賢者の石を、レネゲイドクリスタルをUGNから与えられていた。選ばれし者だったんだよ、君は。」
「俺は、あれから5年間も厳しい訓練をしてきた、それに耐えてきた。でも、とうとうPC①のような力は手に入れられなかった。」
「俺はただ、PC①と並んで戦いたかっただけなのに。俺にはそんな力ははじめからなかったんだ。」
蒼真は、足元に転がる無数の石、レネゲイドクリスタル、デミクリスタル、またはそれに類するものの内1つを踏みつける。
蒼真:「ここにある石は、みんな俺には合わなかったんだよ。」
「レネゲイドクリスタルは人を選ぶ、宿主と記憶を共有し、その力を高める。だから思ったんだ。親友の君の、俺が憧れても、憧れても届かなかった君の中にある石なら、俺を君のいる高みまで連れて行ってくれるんじゃないかと。」
「俺はそう信じてる。」
「賢者の石は持ち主の記憶を引き継ぐ、俺がPC①と並んで戦うにはもうこれしかないんだ。これ以上何も言うことはないよ。戦おう、君もそのためにここに来たんだろう?」
そう言って、華奈の血が付いたレネゲイドクリスタル当てたことにより胸に紅い薔薇を咲かせたかつての友は剣を構えた。
衝動判定
意思:9
衝動判定に失敗した場合、バッドステータースの暴走を得る。その後全PCは浸食率を2D10上昇させる。
戦闘に入る。敵は蒼真1人。蒼真から10m離れたところにPCが同一エンゲージで存在。勝利条件は蒼真を戦闘不能にすること。
蒼真が息を引き取る直前に言い残す。
蒼真:「僕は、PC①に追いつきたくて…護られるだけじゃなくて、僕がPC①を守ってあげられるような、そんな対等な友達になりたかったんだ……」
華奈には彼女から摘出されたレネゲイドクリスタルを元に戻し、病院に搬送することで回復する。
バックトラックを行う。
【エンディングフェイズ】
・シーン9:左目の行方 PC③
あなたは千代田区の病院に入院しているインダスに彼のレネゲイドクリスタル、ゴルゴンゾーラ・ダイヤを返却しに来ていた。
インダスはとても感謝するだろう(口調は相変わらず)。護衛を果たせなかったことに関しては特に不満を漏らさない。ゴルゴンゾーラ・ダイヤの再展示の計画を練るように霧谷に伝言を頼まれるかもしれない。
・シーン10:妹 PC②
妹である華奈に身の振り方を考えるように諭すシーンとなるだろう。
共にUGNを抜けるように促しても、霧谷に警備上の理由から日本支部への転属を要求してもよいだろう。しかし、華奈はT区で兄(姉)と共にこれまで通りT都の平和を作る生活を望むだろう。どのような結末をこの兄弟に与えるかはPC②の交渉次第である。
・シーン11:墓標 PC①
UGNチルドレンは基本的に墓を持たない。非日常の存在である彼らには死後、名を刻むべき場所は与えられない。まして、UGNに所属しておらず、肉親もいない孤児の蒼真は、彼自身の死によってその存在を完全に忘れられてしまうのだった。
PC①はこのまま蒼真を忘却の彼方へと忘れ去ってしまっても構わない。この物語の筆者としてはささやかな塚を彼のためにPCが作ることを切に願う。
Fin...
経験点の配布
本シナリオのクリア報酬は経験点10点である。
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